コロナで注目、企業間「人材シェア」普及への壁3つ

「要らない人材」放出の場になっては意味がない

(写真:metamorworks / PIXTA  )
コロナ禍により、テレワークやオンライン授業、オンライン診療など、社会のデジタル化が一気に加速したが、同時に行政サービスなどのデジタル化の遅れが露わになった。そこで菅政権は、政策の最優先課題としてデジタル化を強力に推進する方針を示している。
本連載『暮らしの「脱アナログ」最前線』では、デジタル化の加速によって私たちの暮らしや働き方がどのように変わるか、未来はどのような姿になっているのかを考えていく。
第一回:小中学生にパソコン「1人1台」は何をもたらすか
第二回:日本人の「投資への高すぎる壁」壊す逆転の発想
第三回:政府本腰も「キャッシュレス途上国」日本の課題

「勤め上げ」型キャリアの終焉

新卒で会社に就職し、定年まで勤めあげる。戦後日本が築き上げてきた単線型キャリアが、今大きく変わろうとしている。日本の経済成長の低迷や産業構造の変化の中で、企業が自社で人材を抱え続けることは難しくなっている。

そして直近のコロナ禍によって、更に人材流動化は加速することとなった。厚生労働省は、2020年12月閣議決定の政府の追加経済対策で、労働需給調整のための出向を進めるため、従来の雇用調整助成金に加えて、人材の出し手企業・受け入れ側企業の双方を対象とした助成金制度を新たに設けることを決めた。

実際、埼玉県は新型コロナウイルスの影響で厳しい経営環境にある阪急交通社から10人の人材を任期付き職員として採用した。また、日本テレビは本社が近隣のANAグループの社員をキャスターとして期間限定で起用するなど、企業間の「人材シェア」の取り組みが広がっている。

また、公益財団法人産業雇用安定センターでは、労働需給調整のための雇用シェアを活用する場合に、無料マッチングなどの支援を行う「雇用を守る出向支援プログラム2020」を行ったり、関東経済産業局は、「人材シェアマッチング事業」により、コロナ禍で中小企業の労働需給調整のためのマッチング事業に取り組んでいる。

これ以外にも、都市銀行が行員・OBを地域金融機関や地方企業に派遣する仕組みや、銀行が取引先間の人材融通支援を行うといった取り組みも見られ、今後もこういった企業の枠を超えた取り組みは拡大していくと想定される。

次ページ今後の「人材シェア」はどんな形に?
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