LINE、スマホ決済と広告事業に見えた構造変化 激戦続くキャッシュレス、収穫期は訪れるか

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生活密着型の「スーパーアプリ」を目指すLINE。写真は出澤剛社長(撮影:大澤誠)

1年の締めくくりとなる本決算ではあるが、説明会はなく、開示資料もごく簡素なもののみ――。Zホールディングス(ZHD、旧ヤフー)との経営統合を前にしているためか、LINEが1月末に行った2019年度の決算発表は、これまでになくひっそりとしたものだった。

LINEの2019年12月期決算(国際会計基準)は、売上高にあたる売上収益が2274億円と前期比9.8%増だったのに対し、営業損益は389億円の赤字(前期は161億円の黒字)だった。赤字に転落した主たる要因は、スマートフォン決済「LINEペイ」をはじめ新規事業への先行費用がかさんだことだ。

ちょうど1年前、2018年度の決算説明会でLINEの出澤剛社長は「金融、AI(人工知能)などの新規領域で年間600億円(の赤字となる範囲まで)先行投資を行う」と宣言していた。結果として2019年、こうした新規領域をまとめた「戦略事業」セグメントでは665億円の赤字を計上しており、想定より若干膨らんだ格好だ。

投資のピークを越えたLINEペイ

最も投資が重かったのは、プレーヤーが増え競争激化の中で奮闘するLINEペイだ。2019年5月からは「祝!令和 全員にあげちゃう300億円祭」と銘打ち、同社最大規模の予算を積んだ還元キャンペーンにも挑んだ。

ただ、投資のピークはここだった。2019年4~6月に100億円近く消費したLINEペイ関連のマーケティング費用だったが、同年7~9月には8億円まで削減。月間利用者数は減少したものの、会社側によれば社内の想定を上回る定着率だったという。

10月以降も“バラまき”ではなくコアな利用者を意識した還元策を重視し、月間利用者数は回復基調に乗り始めた。決済事業単体での「収益化の道筋が見え始めている」(LINE)と自信を見せる。

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