LINE、スマホ決済と広告事業に見えた構造変化 激戦続くキャッシュレス、収穫期は訪れるか

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「トーク」タブ内の上部にある、広告配信を行える枠(画像:LINE公式ブログ)

これにはいくつかの要因がある。1つは、アプリの「タイムライン」「ニュース」といったタブ内や「LINEショッピング」「LINEポイント」などのサービス内に掲載するディスプレー広告の伸びだ。アプリ内で最も閲覧のある「トーク」タブ内での動画を交えた広告配信をできるようにするなど、掲載面、掲載スタイルの両軸でサービスを拡充してきたことが奏功した。

増加する法人のLINEアカウント

もう1つの牽引役がアカウント広告だ。企業や店舗がLINEアカウントを開設できるサービスで、一般利用者へのメッセージ送信や、店頭で使えるクーポンの配信に対し課金している。

LINEは現在、一般の月間利用者が8300万人に上り、企業・店舗側にとっても、一般ユーザーと直接「友だち」になれる公式アカウントをサイトや店頭への送客に活用したいニーズが高まっている。

2019年4月には、従来中小企業向けアカウントだった「LINE@」と、大企業向けだった「LINE公式アカウント」とを統合。無料で運用できるプランも用意し、企業・店舗の規模や業態にかかわらず低コストで導入できるように刷新した。

加えて、 従来は有料プランに限られていた「ターゲティングメッセージ」 などの機能をすべてのプランで使えるようにした。この結果、公式アカウント数は2019年3月末の974万から、同12月末の1146万まで拡大している。

IT・ネット各社は今、決済を入り口に生活のあらゆる場面で必要とされる「スーパーアプリ」創出を目指している。友人とつながるように企業や小売店とつながれるLINEならではの特性は、こうしたスーパーアプリ構想に有利に働くはずだ。OMO(Online Merges with Offline=オンラインとオフラインが溶け合うマーケティング)という新たなトレンドにもマッチする。

だが同時に、LINEはシンプルな使い勝手を売りとしてきたアプリでもある。広告の掲載面が増えすぎたり、企業アカウントからのメッセージが多すぎたりすれば、当然利用者の不満は蓄積する。今や日本人のコミュニケーションインフラといえる存在になったLINEだが、利用者の継続率を落とさずに収益拡大を実現し続けるのは、決して楽ではない。

長瀧 菜摘 東洋経済 記者

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ながたき なつみ / Natsumi Nagataki

​1989年生まれ。兵庫県神戸市出身。中央大学総合政策学部卒。2011年の入社以来、記者として化粧品・トイレタリー、自動車・建設機械などの業界を担当。2014年から東洋経済オンライン編集部、2016年に記者部門に戻り、以降IT・ネット業界を4年半担当。アマゾン、楽天、LINE、メルカリなど国内外大手のほか、スタートアップを幅広く取材。2021年から編集部門にて週刊東洋経済の特集企画などを担当。「すごいベンチャー100」の特集には記者・編集者として6年ほど参画。2023年10月から再び東洋経済オンライン編集部。

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