2019年、日本のインターネット広告費は、長年首位だったテレビ広告費を初めて超えた。それどころか、2020年には総広告費約6.2兆円の約4割(36.2%)を占め、マスメディア4媒体(テレビ、ラジオ、新聞、雑誌)の合計(36.6%)に並んだ(電通「2020年 日本の広告費」より)。
インターネット広告は、ユーザの性別や年齢といった属性や、インターネット上で検索・閲覧した履歴などの情報もとに、ターゲットを絞って広告を表示することができる。
そして広告の先にある商品購入や会員登録ページなどに誘引できた時のみにしか費用が発生しないことや、予算に応じて広告の出し先や量を細かく選択できることなどが、広告主である企業からここまで重用されるようになった理由だ。
クッキーは業者間で流通
サイトで自動的に吸い上げられたクッキーは、ネット広告やマーケティング業者の間で流通される。これは「サードパーティークッキー」と呼ばれる。一度インターネットで閲覧した商品が、別のサイトに移動しても「追いかけるように」表示されるのは、このためだ。
個人情報の取り扱いに厳しい欧州は、サードパーティークッキーの勝手な流通は、個人情報の不正な第三者提供にあたると断じて「EU一般データ保護規則(GDPR:General Data Protection Regulation)」を定めた。
GDPRでは、クッキーなどの仮名化された情報であっても、個人情報であることに変わりがないとしていて、利活用したいのであれば、「ユーザから能動的な同意を取ることが必要」と明言している。
今後は、冒頭のような「サイトを閲覧し続けることで取得されたクッキーが第三者に提供されることを了承したことになる」という「よくある」やり方は違法になる。
米国のカリフォルニア州でも、CCPA(California Consumer Privacy Act)というGDPRと類似した法律がすでに施行されており、米国全体で適用される連邦法にその内容が組み込まれる可能性が高い。
この世界的な規制の動きに素早く反応したのがプラットフォーマー、その中でもサードパーティークッキー関連情報の「大口提供者」であり、Safari、Chromeいうブラウザで世界シェアの約9割を占めるAppleとGoogleだ。AppleはすでにSafariでのサードパーティークッキーによるサポートを2020年3月に廃止しており、Googleも2023年を目処に廃止する予定である。
まさにクッキーレス時代の到来である。
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