クッキーレスがインターネット広告を出稿する企業にもたらす最大の打撃は「見込み客が見えなくなる」ことである。
広告を出稿する企業の多くはサードパーティークッキーを活用し、インターネット広告事業者などを通じて、インターネット上の行動履歴データを「広告サービスの一環として」得ている。
サードパーティークッキーを使えば、広告を通じてユーザを商品販売サイトなどにどれくらい誘引できたのか、誘引してどれくらいの時間滞在してもらえたのか、その結果どれくらい販売に繋げることができたのか、といった数値が自動的に取れる。だから、どのプロセスに課題があるかも一目瞭然である。
しかし、クッキーでユーザと行動をセットにしてサイトをまたいで追えなくなれば、自社のサイトを訪問しそうなユーザはもちろん、頻繁に訪問しているユーザすら、今までのように簡単に判別できなくなる可能性が高いのだ。
クッキーを代替する技術としては、スマートフォンやパソコンといった機器とブラウザの設定情報などをもとに独自のIDを生成するものなどがあるが、ユーザを特定する精度や活用の利便性において、今のところクッキーには及ばない。
クッキーレス時代のインターネット広告は、テレビや新聞などの「マス広告」と、効果測定の精度がそれほど変わらなくなることを覚悟しなければならない。
FacebookなどSNSは別格
ただし、実名で多くの会員を持ち、会員が投稿や意思表明した「リッチな」情報をもとに広告を出せるFacebookとLINEなどSNSは別格であり、クッキーレス化から受ける影響を軽微に抑えるであろう。
だからこそ予想されるのは、クッキーレス化で行き場を失った「今まで通りユーザを特定したい」広告主が殺到し、広告枠の高騰することである。
クッキーレス時代にインターネット広告を出したい企業は、「精度の低い広告」か「精度は高いが費用も高い広告」の二者択一を迫られる。
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