勝負はこれから!「キックス」発売1年の通信簿 コロナ禍で門出は不運も販売台数は上昇中
筆者は、デビュー直後にキックスに試乗する機会を得たが、使いやすいサイズであるし、e-POWERの走りはスムーズでパワフル、先進運転支援システムも安心感があり、商品力は高いと思えた。
これであれば、販売ランキングでのトップ3入りは難しくとも、10位以内もありうるだろうと予想していたのだ。しかし、発売直後は思わぬ苦戦を強いられる形となった。
具体的にキックスの販売実績(自販連調べ)を見ていくと、発売同月となる6月は1836台で27位。6月末の発売での数字と考えれば、まずまずのところだ。ところが、翌7月がよろしくない。なんと50位よりも下の圏外となったのだ。これには驚くほかない。
その次の8月はランキング内に復帰するものの、1178台で38位。27位→圏外→38位という発売後3カ月間の成績は、まったくの予想外であり、言ってしまえばスタートダッシュは大失敗であったのだ。
とはいえ、9月になると19位(3493台)、10月は17位(3542台)、そして11月15位(4292台)、12月20位(3529台)と、2020年後半になって数字は上向きに。しかし、“10年ぶりの新型車”というインパクトの期待に対しては、まだまだ物足りない数字だろう。
コロナ禍で工場が操業停止に
スタートダッシュ失敗の理由は、コロナ禍にある。
キックスは、タイで生産される逆輸入車のため、日本自動車輸入組合(JAIA)からも新車登録台数の数字が出ており、自販連データで圏外だった2020年7月の数字は、日産の総数で750台。
これには同じくタイで生産される「マーチ」も含まれるから、キックスとマーチを合わせても、750台しか新規登録できなかったということだ。これは、日本に車両が入ってきていないことを意味する。
そうとなれば理由は明白で、生産や輸出体制に問題があったのだ。2020年の4~6月は日本でも緊急事態宣言が出たように、キックスの生産国であるタイもコロナ禍で、あちこちの工場が操業を停止していた。
日産が発表した2020年のグローバル生産台数の数字を見ると、タイを含む「その他」地域の生産数は、1~6月の累計が前年比マイナス77.2%。7月も前年比マイナス52.1%と大きく落ち込んでいた。これが7月の販売低迷の理由だろう。
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