勝負はこれから!「キックス」発売1年の通信簿 コロナ禍で門出は不運も販売台数は上昇中
2020年6月末に日産の新型コンパクトSUV「キックス」が発売されて、1年が経過した。
新型コンパクトSUVといえばトヨタ「ヤリスクロス」が大ヒットを飛ばしているが、キックスはどれぐらい売れたのだろうか? 市場での受け入れられ方を含め、1年を振り返ってみよう。
キックスは、日本で実に10年ぶりとなる日産のブランニューモデルだ。
逆に言えば、日産は日本市場に過去10年もの間、新規モデルを投入していなかったことを意味する。長かった過去のゴーン体制下で、日本市場に新型車の投入がほとんどなかったというわけだ。
しかし、日産が現社長・内田氏体制に変わったことで、新型車が登場した。その第1弾がキックスとなる。新体制の門出となるキックスは、日産にとって非常に重要な存在であるに違いない。販売店にとっても、待望のニューモデルであっただろう。
タイ生産のハイブリッド専用車
では、そのキックスは、どのようなクルマなのだろうか。簡単に言えば、コンパクトサイズのSUVで、「e-POWER」パワートレインを持つハイブリッド専用車だ。
FF(前輪駆動)のみの設定で、SUVとはいえ4WDはない。2グレード編成で、価格は275万9900円と286万9900円。
キックス自体は、2016年から海外市場で販売されており、中南米ではベストセラーSUVとなっている。日本で販売されるキックスは、ハイブリッド専用車として運転支援機能を充実させ、質感もアップさせた仕様で、すべてタイで生産され、逆輸入の形をとる。
日産にはこれまで、同じコンパクトSUVの「ジューク」という先達が存在し、一定の人気を博していた。このジューク、日本ではキックスの発売と入れ替わるように販売終了となったが、ヨーロッパ市場ではフルモデルチェンジされた2代目が販売されている。
それなのに日産は、日本で新型ジュークを販売せず、わざわざ新規のキックスを投入してきたのだ。
その理由が何かといえば、“確実なヒット”を狙ったことにある。ジュークは、デザイン優先で後席や荷室が狭く、実用性でキックスに劣る。一方、キックスは、高い実用性があって幅広い年齢層にアピールできる。高齢者の多い日本市場を考えれば、ジュークではなくキックスを選んだのも、当然のことだろう。
ちなみに、キックスのライバルとなるのは同じBセグメントSUVのホンダ「ヴェゼル」、トヨタ「ヤリスクロス」と、もう少し大きいトヨタ「C-HR」やマツダ「CX-30」だ。
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