ドル円相場は「緊張の夏」を迎えている 8月13日前後から、あのストーリーが復活?

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一方で、米国では先週4~6月実質GDP成長率が一足早く発表され、前期比年率4.0%と高成長となった。1~3月の同マイナス2.1%(マイナス2.9%から上方修正された)の落ち込みから一転し、潜在成長率を大きく上回るペースに大きく加速した。

米国のGDP成長率も1~6月でならすと、僅かなプラス成長に過ぎない。ただ、2014年前半のGDP成長率は冴えないが、米国では、労働市場や企業の生産活動を示す経済指標は実は好調である。例えば、非農業門雇用者数は1~6月平均で23万人/月と、2013年までの20万人と比べると、雇用の伸びは加速している。

米国経済の堅調、日本経済の「停滞」が明らかに

米企業景況感を示すISM(米供給管理協会)などが発表するサーベイ指数は、寒波の悪影響がでた冬場に一時的に悪化したが、それ以降は順調に戻っている。この回復は、消費者心理を表すサーベイでも確認されている。調査機関カンファレンスボードが発表した消費者心理指数は、足元の7月時点で、リーマンショック前の2007年以来の高水準まで回復している。

これらのサーベイ指標改善に加えて、鉱工業生産や企業売上などの企業サイドの統計は総じて堅調である。これらの動きを踏まえると、2014年前半の米国経済は、冴えなかったGDP統計が示すよりも、高い成長が実現しているかもしれない。米GDP統計については、推計方法の変更があったことなどから、実態を正確に捉えられていない可能性がある。

いずれにしても、現在の米国と日本の経済状況を比べる観点では、「米国経済の堅調、日本経済の増税後の停滞」のコントラストがより鮮明になる。8月13日に内閣府が、4~6月の日本の実質GDP成長率を発表するが、これを控えて為替市場では、日米両国のファンダメンタルズ格差に注目が集まる可能性がある。

2014年前半のドル円相場は、世界の株式市場や米国長期金利の動きとほぼ連動してきたが、7月になって連動性が薄れ膠着状態が鮮明になった。その後、地政学リスクの高まりなどをきっかけに米長期金利が低下しても、ドル円は円高にほとんど動かなくなっていた。そして7月末になると、米国ファンダメンタルズ改善に対して、長期金利よりも敏感に反応する場面が増えているようにみえる。

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