日本人が無駄にしている「雨水」は飲めるのか 大量の雨水を利用しないなんてもったいない

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「あまみずソーダ」などを作るにあたって最初、「ドリンクメーカー(北陸ローヤルボトリング協業組合)に製造を依頼すると、『雨水で飲み物がつくれるのか』という反応でした。そこで雨水のきれいさを証明することからはじめました」(笠井さん)

大学構内にビニールシートを張り、雲の動き、降り方を見ながら、最適なタイミングで雨水を採取。

(写真:近藤晶撮影)

それを北陸公衆衛生研究所で水質検査(食品製造用水検査項目26項目と緑膿菌、腸球菌、嫌気性芽胞菌)すると、pH(水素イオン濃度)以外の項目をすべてクリアした。

水素イオン濃度が示すことは?

クリアできなかったpHは、その液体が酸性かアルカリ性かを表す尺度。数値は普通1から14までで、7が真ん中で「中性」。水道水は「中性」だ。pHが7より小さいと「酸性」、7より大きいと「アルカリ性」。pHを測ると、その液体に何が溶けているのかを推測できる。

「pH値の結果は5.4で上記基準のpH5.8~8.6外でしたが、そもそも清浄な雨水のpHは5.6なので、この値は正常です。これは大気中の二酸化炭素が雨に溶けたことによります。雨水がpH7(中性)だとむしろ何か別のものが入っていることになり異常なのです」(笠井さん)

つまり、雨水はきちんと集めれば飲めるということだ。

この結果にメーカーも納得し、試作品を製造。製造用水は検査時の水を、活性炭フィルタとMF膜(膜孔径が数十nm以上の分離ろ過膜)でろ過し、さらに紫外線で殺菌した。この原水に二酸化炭素を注入して「あまみずソーダ」が完成、さらにシロップを瓶詰め後に加熱し「あまみずサイダー」が完成した。

では、「あまみずソーダ」で感じたほのかな甘みは何だったのか。

次ページほのかな甘みの正体は?
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