日本人が無駄にしている「雨水」は飲めるのか 大量の雨水を利用しないなんてもったいない

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(写真:筆者撮影)

写真左が硬度の高いミネラルウォーター(硬度300)。温泉に行って髪を洗おうとすると、なかなか泡立たないことがある。それは石けん成分とミネラルが反応したためでで、上の写真で泡立ちがほとんどないのも同じ理由だ。写真真ん中が水道水。そして、いちばん泡立った写真右が雨水だ。

したがって洗濯にいちばん向いているのは雨水ということになる。少量のせっけんで泡立つということは、すすぎに使う水も少なくてすむ。「雨水に関する意識調査」では16人が雨水を「洗濯・靴洗い」に使用していた。

水源は頭上にある。東京都民の水道使用量は年間約20億トンだが、東京に降る雨は年間25億トンある。これを使わない手はない。

雨をためると洪水の軽減に

気候変動が進むと短時間に大量の雨が降るようになると言われる。そのとき、もし屋根に降る雨水をタンクにためたり、降った雨を大地に浸透させたりすれば洪水の軽減につながるだろう。1つの住宅やビルでためられる雨水はわずかでも、それが地域全体にひろがっていけば、大きなダムと同様の効果を発揮する。増水の原因となる雨をため置いたり、地下に浸透させる。

具体的には、流域内の施設を利用して雨水貯留施設を整備したり、個人住宅で雨水タンク、浸透マスなどを設置する。都会ではそれぞれの家がタンクに雨水をためれば、無数のミニダムを都市におくことができる。

かりに東京都内のすべての1戸建て住宅が屋根に降った雨をためたとすると、1億3000万トンの水が確保でき、これは利根川水系の八木沢ダムが東京都に供給している水量を上回る。

すでに雨水貯留槽を供えた建築物もある。たとえば、東京スカイツリーには最大2635トンの水がためられる雨水タンクが設置され、トイレの流し水や屋上緑化への散水に活用している。

このように雨水活用は、都市型洪水の備えになると同時に、いざというときの自己水源の確保にもなる。そもそも生活に使える雨水も洪水をもたらす雨水も同じ雨。私たちが、いつのまにか、頭のなかで分けて考えていただけではないか。雨との付き合い方を考え直してみたい。

橋本 淳司 水ジャーナリスト

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はしもとじゅんじ / Junji Hashimoto

武蔵野大学客員教授。アクアスフィア・水教育研究所代表。Yahoo!ニュース個人オーサーワード2019。国内外の水問題と解決方法を取材。自治体・学校・企業・NPO・NGOと連携しながら、水リテラシーの普及活動(国や自治体への政策提言やサポート、子どもや市民を対象とする講演活動、啓発活動のプロデュース)を行う。近著に『67億人の水』(日本経済新聞出版社)、『日本の地下水が危ない』(幻冬舎新書)、『100年後の水を守る 水ジャーナリストの20年』(文研出版)、『水がなくなる日』(産業編集センター)など。

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