中外製薬ロナプリーブ「コロナ第4の薬」の正体

抗体カクテル療法とは何? 有効性、コストは?

ちなみに「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き」で記載のある重症化リスク因子には上記の臨床試験での基準に加え、「妊娠後期」の表記がある。通常、臨床試験で妊婦が対象者になることはなく、添付文書でも生殖への影響を調べる「生殖発生毒性試験」は行っていないと明記され、「妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること」と記載されている。

いずれにせよロナプリーブではこれら2つの基準を満さねばならず、新型コロナに感染したから誰でも投与を受けられるわけではない。

また、この薬は通常の薬と違い、医療機関が医薬品卸に直接発注して購入することはできない。当面は世界的にも供給量が限られることもあり、国内では中外製薬との契約に基づき全量を政府が買い上げ、必要とする医療機関の求めに応じて国が中外製薬を通じて配分する。

さらに前述の「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き」では、重症化リスクのある患者は入院治療を要すると定めている。このため厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部が発出したロナプリーブに関する事務連絡通知では、供給する医療機関は、こうした患者の入院を受け入れている医療機関に限定している。感染者急増でベッドの空きがないため、重症化リスクがありながら入院ができないなどの特殊なケースなどを除けば、当面はホテルあるいは自宅での療養者は投与対象にはならない。

気軽に使えない理由に国の財政負担問題も

ロナプリーブが思ったように気軽に使えない理由には医学的な問題だけでなく、経済的な問題、国の財政負担の問題もあると考えられる。

現在感染症法に基づく指定感染症となっている新型コロナの治療費は全額公費で負担される。つまりロナプリーブを使われる人は一銭も薬剤費はかからない。これはこの薬に限らず、すでに新型コロナに適応のある治療薬のレムデシビル、デキサメサゾン、バリシチニブを使う場合や人工呼吸器や体外式膜型人工肺(ECMO)を使う場合などもすべて公費負担で患者本人の金銭負担はない。

とはいえ、無制限に使えば国庫に負担をかけることになる。ではロナプリーブの薬剤費がいくらになるかだが、これは今のところ不明。通常、日本国内で承認された薬は公定薬価が定められて公開されるが、ロナプリーブは中外製薬と国との契約で一括購入し、使用時は国が全額負担することもあってか公定薬価は決められていない。また、国の購入数量、総購入金額も現時点では非公開である。

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