中外製薬ロナプリーブ「コロナ第4の薬」の正体

抗体カクテル療法とは何? 有効性、コストは?

ロナプリーブが新型コロナ患者でどのような効果を発揮するかを説明するためには、まず新型コロナウイルスがヒトの体内でどのように感染を起こしているかを知っておく必要がある。

ロナプリーブはどのような作用を示すのか?

これまでの各種報道で新型コロナウイルスの模式図を見た人は少なくないと思うが、このウイルスの構造は一言で言うと、円形のボールのようなものの表面に数多くのトゲが突き出している。このトゲがスパイクタンパク質と呼ばれるもので、ヒトの細胞の特定の部分に取り付いて、そこからウイルスの遺伝子がヒトの細胞に送り込まれる。これがまさに「感染」と呼ばれる状態である。その後は送り込まれた遺伝子がヒトの細胞を間借りし、次々と新型コロナウイルスを作り出し(増殖)していく。

この2つの抗体はそれぞれがこのスパイクタンパク質に結合する。そうすることで前述のスパイクタンパクとヒトの細胞との結合、すなわち感染の成立が阻止される。このため2つの抗体は中和抗体とも呼ばれる。

ここで「それってワクチンと似ていない?」と思った人もいるかもしれない。ある意味その通りである。現在新型コロナで使われているメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンは、前述の新型コロナのスパイクタンパク質の遺伝情報が成分である。これがヒトの体内に入りヒトの細胞を間借りしてスパイクタンパク質だけを作り出し、それを異物と認識したヒトの免疫が中和抗体を作ったり、一部の免疫細胞が異物と認識して直接攻撃する能力を獲得・記憶したりする。

ただ、ロナプリーブとワクチンの中和抗体には違いがある。ロナプリーブの中和抗体は感染判明後、静脈に点滴で注射するオンデマンド方式で、それを止めれば抗体は無くなるのに対し、ワクチンの場合はいったん基本スケジュール通りに接種が完了すればその後一定期間はウイルスの体内侵入に合わせて体内で自動的に中和抗体が製造されるオートメーション方式である点だ。

新薬ロナプリーブの実力

今回のロナプリーブでの「特例承認」とは、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(通称・薬機法)」の第14条の3に基づき、非常事態の際に国内未承認で海外では承認などを受けた医薬品を簡略化した手続きで特例的に承認する仕組み。簡略化とは、簡単に言えば海外で承認などを受けた医薬品に関して、海外での臨床試験データを軸に日本国内での臨床試験を最小限にして、データを迅速に審査して承認を行う制度だ。

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