中外製薬ロナプリーブ「コロナ第4の薬」の正体

抗体カクテル療法とは何? 有効性、コストは?

ちなみに特例承認は、あくまで日本と同等水準の医薬品の承認制度を持っている国で承認などを受けた医薬品にのみ対象を限定している。この「同等水準の国」として現時点で認められているのはアメリカ、イギリス、カナダ、フランス、ドイツの5か国のみだ。

今回のロナプリーブの特例承認の審査では、アメリカなどで緊急使用許可の承認などを受けた際に提出された海外での臨床試験データが用いられている。この試験は「REGN-COV 2067」という名称で、入院には至っていないものの、肥満や50歳以上および高血圧を含む心血管疾患を有するなど、少なくとも1つの重症リスク因子を有している新型コロナ患者を対象に行われた。

対象患者には標準的な対症療法を行いながら、ロナプリーブ1200mg(シリビマブ、イムデビマブをそれぞれ600mg)を静脈内に1回投与するグループと偽薬(プラセボ)を静脈内に1回投与するグループを設定し、効果を比較した。

入院や死亡のリスクが70.4%も低下

これまで明らかになっている結果は、投与から約1カ月以内の新型コロナに関連する入院または新型コロナとの関連は問わず何らかの理由で死亡に至った事例の発生率は、プラセボ・グループが3.2%、ロナプリーブ・グループが1.0%で、プラセボ・グループに比べてロナプリーブ・グループは、入院や死亡のリスクが70.4%も低下していた。また症状の持続期間(中央値)は、プラセボ・グループの14日に対して、ロナプリーブ・グループは10日に短縮した。

安全性について、重篤な有害事象発現率はロナプリーブ・グループが1.1%、プラセボ・グループ4.0%。ちなみに有害事象とは、副作用とイコールではなく、薬やプラセボの投与後から一定期間中に起きた好ましくない体の変化をすべてカウントしたものである。

有害事象の中で薬との因果関係が否定できない、あるいは因果関係があると認定されたものが「副作用」と分類される。現時点でロナプリーブによる副作用と考えられているものは、注射から24時間以内に起こる発熱、悪寒、吐き気、めまいなどの急性症状である「急性輸液反応(infusion reaction)」で、その発現率は0.2%である。

家族内感染対策で認められた予防効果

今回、ロナプリーブでは死亡リスクを減少させるというエビデンスが示されたが、すでに新型コロナに対する適応が日本国内で認められている薬剤の中では、デキサメタゾンについで2種類目であり、今後の新型コロナ治療にとっては明るい材料である。

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