納得!だからあの人は「部下がついてこない」のか 現場が自発的に動く「PDアプローチ」の反転質問

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仕事ができて語れるリーダーなのに、なぜ部下が動かない?(写真:プラナ/PIXTA)
デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進、SDGsの目標達成など、ビジネスを取り巻く環境の急変に伴い、求められるリーダーも変わっています。いままで有能だと思われていたリーダーのもとで現場が動かなくなるケースが増えています。この変化の流れの中で注目されているのが、現場主導のボトムアップ型で問題解決に取り組むPDアプローチです。SDGs時代の問題解決バイブルとして注目されている名著の日本語版『POSITIVE DEVIANCE(ポジティブデビアンス)』を翻訳・解説した神戸大学大学院の原田勉教授が、現場が自発的に動く組織をつくるためのリーダーについて解説します。

現場にとって、理想のリーダーとは?

できるリーダーには3種類のタイプがあります。

第1に、「職人気質」タイプ。自分では仕事ができるけれども、なぜうまくできているのかを語ることができない人です。

『POSITIVE DEVIANCE(ポジティブデビアンス): 学習する組織に進化する問題解決アプローチ』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

第2に、「評論家」タイプ。これは自分では何もできないけども、教えたり説明することに長けている人です。

第3に、「プレイングマネジャー」タイプ。仕事ができて、しかもうまくいく理由を語れる人です。

現場にとって、理想のリーダーはどのタイプでしょうか。

第1の職人型マネジャーは、若い部下にとってついていくのは大変です。親方の背中を見て技を盗み取れ、といったやり方では、いまの若い人たちはついてきません。第2の評論家タイプも、いまの若い人には嫌われるでしょう。

では、第3のプレイングマネジャータイプが理想のリーダーでしょうか。しかし、この「できて語れる」万能型リーダーもまた部下がついてこない可能性があります。というのも、このタイプのリーダーが「語れる」のは、あくまでも「因果関係が明確な領域」に限定されるからです。因果関係が不明な場合、そもそも「語る」ことはできません。

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