納得!だからあの人は「部下がついてこない」のか 現場が自発的に動く「PDアプローチ」の反転質問
「できて語れる人」は、必ずしも「人から学び」「人とともに計画し」「人が持っているものから始める」ということをしません。むしろ、自分で計画し、自分はもっているけれども他の人が持っていないものを要求することから始めます。それでも因果関係が明確な領域では機能します。しかし、適応課題の場合、組織はかえって混乱することになるのです。
なぜ因果関係が明らかにならないのか?
では、なぜ適応課題では因果関係が明らかにならないのでしょうか。その理由は行動変容が必要とされるという事実にあります。行動変容を求めて問題の原因を特定するというのは、いわば悪者探しです。
悪者だと指摘されて素直にそれを受け入れる人はそんなに多くありません。むしろ、反発を招くことになるでしょう。そうすると、望ましい方向への行動変容はよほどコントロールされた監視下にあるのでないかぎり難しいものになります。
心のなかで反発しながら嫌々従ったとしても、それによって組織に大きなエネルギーが生じることにはなりません。組織は士気が高くなければ機能しないのは明らかでしょう。
このような場合、必要なのは悪者ではなく成功者を探し出すことです。成功者の行動特性を明らかにし、それを模倣することで適応課題を解決していくのです。言い換えると、失敗の因果関係ではなく、新たな成功の因果関係を作り出していくということになるでしょうか。
しかし、この新たな成功の因果関係はなかなか明らかになりません。というのも、ここでいう成功者、すなわち「ポジティブな逸脱者(PD)」は、通常、自分が成功者であることに気づいていないからです。
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