納得!だからあの人は「部下がついてこない」のか 現場が自発的に動く「PDアプローチ」の反転質問
では、因果関係が不明な場合でも、部下が自発的に動く理想のリーダーとはどのような人なのでしょうか?
「できず語れない人」が理想のリーダー
部下が自発的に動く学習する組織のリーダーには2種類あります。組織の因果関係を明確化し、そこで真の原因を特定し、問題解決を図っていくリーダーです。ピーター・センゲの主張する学習する組織は大別すると、次の3つに分類されます。
② 現状の理解の深さ(システム思考)
③ 創造的対話(メンタルモデル、チーム学習)
このなかでも②のシステム思考によって現状を取り巻く因果関係をループ図によって明らかにしていくことが重視されます。言い換えると、因果関係の明確化です。ここでは、「できて語れる」少数の人たち、あるいは「できないけれども語れる人」が対話によって解決策を模索することが可能です。
しかしながら、因果関係が明確化できない領域があります。それは組織の人たちの行動変容が必要になる場合です。これを「適応課題」と呼びます。この適応課題では、因果関係が明確化できないため、トップダウンによる技術的な課題解決は難しくなります。
それにもかかわらず、優秀な外部コンサルタントや組織内の「できて語れる人」を寄せ集め、問題解決を図ろうとする組織は少なくありません。その結果、提案される解決策は決して問題を解決せず、むしろ不必要な仕組みを押し付け、現場の人たちの負担を増やすだけに終わってしまうのです。
この適応課題に直面した学習する組織のリーダーとは、「できず語れない人」です。一見すると無能なリーダーのように思われるかもしれません。しかし、事実は、できる人を見出し、そこから学ぶことができる有能なリーダーなのです。
かれらは、身近なところに存在する「できて語れない人」を探していくことから始めないといけません。リチャード・パスカルらの著書『POSITIVE DEVIANCE(ポジティブデビアンス)』では、学習する組織のリーダーの本質として、次の老子の言葉を引用しています。
人とともに計画し
人が持っているものから始め
人が知っていることから構築せよ
最高のリーダーたるもの
事が成れば
皆語るだろう
私たちがそれを成し遂げたのだと
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