「マイアミの奇跡」川口能活が五輪選手に求める事 アトランタから25年、指導者になった守護神

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

「僕らの頃を振り返ると、中1日という今では考えられないような試合日程。2戦目のナイジェリア戦はオーランドだったので、ブラジル戦直後に飛行機で移動して、ホテルのテニスコートでクールダウンするのが精一杯でした。オンとオフのメリハリも考えられず、ナイジェリア戦は選手の意思や戦い方含めて整理がつかず、負けてしまったんだと思います。3戦目のハンガリー戦は勝ちましたけど、ベスト8には残れなかったですね。

それに、当時の僕らは『ブラジルを倒すこと』がすべてで、メダルを取る道筋は見えていなかった。1戦1戦を大事にする中で、6試合をどう戦うかを考えられるようになったのが、25年間の成長だと思います。今回は南アフリカ、メキシコ、フランスという強豪国が同組。まずは1次リーグを突破することですが、決勝トーナメント以降も見据えながら、チームをしっかりとマネジメントしていくことが大事だと感じます」

欧州で活躍するオーバーエージ選手の存在感

今回は、2018年ロシアW杯で決勝トーナメントに進んだ経験のある吉田麻也(サンプドリア)、酒井宏樹(浦和)、遠藤航(シュトゥットガルト)の3人が24歳以上のオーバーエージ(OA)で加わったことも大きい。

(写真:筆者撮影)

川口自身は、2010年南アフリカW杯直線に岡田武史監督(現FC今治代表取締役会長)から「チームをまとめてほしい」と呼び戻され、最年長選手としてその大役をこなした経験がある。

偉大な代表レジェンドから見ても「今回のOA3人は自分とは比較にならない経験値を持っている」と最大級のリスペクトを払うに値するという。

「3人はW杯のみならず、五輪も経験していますし、欧州でも長く活躍している。謙虚ですばらしい人間性を持っていて、まったく天狗にならない。若い選手が頼りすぎるのもよくないとわかっているから、対等に振る舞うことも心掛けてくれています。彼らの存在は非常に大きいですね」と改めて太鼓判を押す。

彼ら3人を筆頭に、今は日本人選手が欧州に50人以上いる時代になった。10代のうちにスペイン1部の門をたたいた久保建英(レアル・マドリード)、オランダ1部にチャレンジした堂安律(PSVアイントホーフェン)、ベルギー1部に赴いた冨安健洋(ボローニャ)らがむしろ当たり前に思えてくるほどだ。

次ページ先駆者・川口が切り開いたもの
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事