「マイアミの奇跡」川口能活が五輪選手に求める事 アトランタから25年、指導者になった守護神

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「時代が時代で、表立って何かを表現するのが難しいのかもしれませんけど、熱さや情熱は見ている人、一緒にプレーしている選手にも伝わると思うので、ギラギラ感は出してほしいですね。その出し方はひとそれぞれですけど、『最後の砦なんだ』という意思は強く押し出してほしいんです。

彼らには後悔してほしくないし、輝かしい未来が待っているはず。自国開催の五輪は自分たちの力を証明するのにもってこいの舞台。選手としての価値を上げてほしいし、グループとして戦ううえで何が大事かも学んでほしい。そして永嗣や権田(修一=清水)ら今のA代表を脅かすように、突き抜けていってほしいと心から願っています」

コロナ禍で逆境のサッカーだが…

コロナ禍に突入してから約1年半が経過するが、「不要不急」と位置付けられがちなスポーツへの風当たりは厳しくなっている印象だ。1993年のJリーグ発足から日本の一大スポーツに君臨してきたサッカーも例外でない。長引く観客制限で日本代表戦もJリーグも観客が大幅に減少し、注目度や関心度が低下しているとも見受けられる。

2005年6月のコンフェデレーションズカップ(ドイツ)の日本代表(写真:筆者撮影)

そういった逆境にある今だからこそ、東京五輪で森保監督率いるUー24日本代表が快進撃を見せ、日本中に活力を与える存在になることが必要だ。川口もその一助になるべく、持てる力のすべてを出し切る構えだ。

「ピッチ上の僕らは、サッカー人口をどうやって増やすとか、ファンを呼び戻すには何をすべきかといった策を一緒に考えることはあっても、具体的に実行するのはなかなか難しいのが現実です。ただ、僕らが結果を残すことで、前向きな効果は間違いなくあると信じています。金メダルを取るために努力していくという姿を見てもらうことで、また多くの皆さんにスタジアムに足を運んでもらえるようになれば、本当にうれしいことです。

コロナ禍で僕らは多くのものを失ったかもしれませんけど、必ず反動はある。沈んだ分、浮上できると思うんです。そのきっかけになるという役割を自分たちは担っている。その意味を考えながら大会にのぞみたいです。熱狂あるスタジアムのすばらしさや魅力を発信できるようになるために、全力で頑張ります」

25年前、1人の守護神として歓喜を味わった五輪という大舞台で、指導者という立場になった川口はそれ以上の喜びと感動を選手たちとともに共有できるのか。U-24日本代表は史上初の金メダルを手にできるのか……。久保や冨安、谷らの若きスター軍団の躍動に大きな期待を寄せたいものだ。

(文中敬称略)

元川 悦子 サッカージャーナリスト

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もとかわ えつこ / Etsuko Motokawa

1967年、長野県生まれ。夕刊紙記者などを経て、1994年からフリーのサッカーライターに。Jリーグ、日本代表から海外まで幅広くフォロー。著書に『U-22』(小学館)、『初めてでも楽しめる欧州サッカーの旅』『「いじらない」育て方 親とコーチが語る遠藤保仁』(ともにNHK出版)、『黄金世代』(スキージャーナル)、『僕らがサッカーボーイズだった頃』シリーズ(カンゼン)ほか。

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