「言いづらいこと」を上手に伝える3つのポイント ストレスをためない「伝えるテク」を身に付ける

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(3)穏やかに伝える

相手を責めたり、もめたりすることが目的ではないとはっきり示すためにも、穏やかな雰囲気が大切です。責めるような表情や口調では、言われているほうも感情的になり、言いたいことが伝わらないどころか、人間関係に角が立ちます。

例えば、段取りが悪く仕事が遅い後輩。周りがとても迷惑していることを伝えたいけれど、悪く受け止められて気分を害されたら、後の仕事や関係性に響きそうで怖くて言えない場合を挙げてみます。

「いつもそうだよね」「なんで早くできないの?」と責めたり、「もう少し、効率を上げるべき」と圧力をかけたり、「のんびり屋さんなんだね~」と遠回しに言ったところで、解決には結びつきません。

「締め切りに遅れることが多く、その後の作業で、みんなが残業になって困ってる。期限に間に合うよう効率的な方法を話し合いたい。改善のために○○してみようと思うけど、あなたの意見を聞かせて」と伝えれば、「何に対して困っているか」「どうしてほしいか」「それについての改善策」までを話し合えるきっかけづくりになると思います。

まずは「何にモヤモヤしているのか」を明確にする

とかく日本人は、人に迷惑をかけてはいけないという「他者優先」の文化で育ち、言いたいことを言うのは「わがまま」と考えがちです。しかし、自己主張とわがままは別のものです。人は言葉で言わなければ、理解できません。穏やかにわかりやすく伝えることができれば、ストレートに言葉にしても、相手から嫌われたり、人間関係が壊れることを心配する必要はありません。逆にはっきり伝えたほうが、お互いが理解し合えて、関係がよくなるケースが多いのではないでしょうか。

伝えるのが苦手な人は、我慢をしてしまうせいで、どんどんストレスをため込んでしまいます。まずは、自分が何にモヤモヤしているのかを明確にしましょう。それが明確になると、相手に「伝えるべき事実」がはっきりしてくると思います。

また、違和感が小さなうちに話すことも大切です。カレーに例えるなら、こちらも言いやすく、相手も聞き入れやすい「甘口」のうちに伝えること。辛口になるほど、言いたいことが膨らみ、言いづらくなります。

伝え方上手になるには、普段から自分の考えを身近な人に言葉で伝える習慣を持つことをおすすめします。言葉にする機会をたくさん持つことで、伝える力が自然と上達します。「伝えるテク」がアップすれば、今よりもっとわかり合うことができ、ストレスの少ない人間関係を築くことができると思います。

大野 萌子 日本メンタルアップ支援機構 代表理事

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おおの もえこ / Moeko Ohno

法政大学卒。一般社団法人日本メンタルアップ支援機構(メンタルアップマネージャ資格認定機関)代表理事、産業カウンセラー、2級キャリアコンサルティング技能士。企業内健康管理室カウンセラーとしての長年の現場経験を生かした、人間関係改善に必須のコミュニケーション、ストレスマネジメントなどの分野を得意とする。現在は防衛省、文部科学省などの官公庁をはじめ、大手企業、大学、医療機関などで年間120件以上の講演・研修を行い、机上の空論ではない「生きたメンタルヘルス対策」を提供している。著書に『よけいなひと言を好かれるセリフに変える言いかえ図鑑』(サンマーク出版)がある。

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