コンビニオーナーが「奴隷契約」と憤る歪な実態 「本部」に声を上げたせいで解約された店もある

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東京都内に複数の店舗を持つコンビニ店長のタカアキさん(筆者撮影)
現代の日本は、非正規雇用の拡大により、所得格差が急速に広がっている。そこにあるのは、いったん貧困のワナに陥ると抜け出すことが困難な「貧困強制社会」である。本連載では「ボクらの貧困」、つまり男性の貧困の個別ケースにフォーカスしてリポートしていく。
今回紹介するのは「表向きは社会のインフラと呼ばれてもてはやされるコンビニも、現場はコロナ下の医療現場さながらの悲惨な状況です」と編集部にメールをくれた、58歳の男性だ。

毎月の労働時間は300時間を超える

お昼時のファミリーレストラン。タカアキさん(仮名、58歳)はエビ入りのサラダを、私はハンバーグドリアを頼んだ。ダイエット中ですか? 私が尋ねると、タカアキさんが笑って答えた。「いえ、いえ。今の時間帯は私の体内時計的には深夜なんですよ。そんな時間にがっつり食べたりしたら、体に悪いでしょう」。

タカアキさんは東京都内に複数の店舗を持つコンビニ店長だ。週4日は午後9時~翌朝5時の夜勤をこなす。夜勤だけではない。毎月の労働時間は300時間を超える。会社員の平均的な所定労働時間は月160時間前後。これと比較すると、タカアキさんの1カ月間の残業時間は、厚生労働省が定める過労死ライン80時間を軽く超えていることになる。

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複数の店舗は、タカアキさんが親族らと一緒につくった会社が加盟店として、コンビニ本部とフランチャイズ契約を結んで切り盛りしている。タカアキさんは夜勤を終えると妻と店番を交代し、数時間眠る。昼すぎに起き、洗濯や買い物を済ませると夕方から再び数時間眠って夜勤に備える。

貴重な睡眠の間に店のアルバイトからの電話で起こされることもたびたび。「返金処理の仕方がわかりません」「コピー機が故障してしまったんですが……」「チルド商品の返品はどうしたらいいんでしょうか」──。

どれも基本的な業務に思えるが、コンビニ業界は空前の人手不足。募集をかけても集まらないし、採用できたとしても仕事を覚える前に辞めてしまう人が多いのだという。

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