この状況下で、仏教界の若手ホープ、松本紹圭さんが「産業僧」というサービスを始めました。
「仏教的視点」と「AI」を掛け合わせて、職場のメンタルヘルスを改善していくという斬新な取り組みで、社員の声にじっくり耳を傾けると同時に、AIを使って感情を読み取り、メンタルヘルスとの相関関係を読み解いていきます。
分析結果によれば、「思っていることを口にして言えるかどうかは、心の健康に大いに影響がある」のだそうです。思いを吐き出し、コミュニケーション欲求を満たす場を持つことが、メンタルヘルスを維持するうえでは非常に重要というわけです。
しかし、リモート環境で、なかなか雑談も会話もできない中で、人の持つこの根源的な「コミュニケーション欲求」はますます、満たされなくなっています。
ネット上での膨大なコメント、投稿を見てもわかるように、「しゃべりたい人」「意見を言いたい人」は山ほどいる一方で、「じっくりその話に耳を貸してくれる人」は少ない、というアンバランスな状態が続いています。
「言いっぱなし」「叫びっぱなし」「お互いが好きなことを言い合うだけ」の「対立」であふれ、じっくりと「対話」をし、心を通わせる機会も少なくなっているのです。
リーダーに求められているのは「人の話を聞く力」
だからこそ今、必要な「最強コミュ力」。それが「人の話にしっかりと耳と傾け、じっくりと聞いてあげる力」です。
日本人のこの力が、近年、とみに弱まっています。人の話を聞くより、スマホでお気に入りのYouTubeを見たり、ソーシャルメディアに投稿したりするほうがよほど楽しい、そんな人も多いですからね。
また、「コミュニケーションは『カッコよく自分の意見を述べ、話すことが主役』だ」と考える人も少なくありません。「話をして、説得し、人を動かす。これがコミュ力の神髄だ」「話す人間がえらい、かっこいい」という誤解は、「話が下手という日本人のコンプレックス」の裏返しという側面もあるでしょう。
しかし、実際はリーダーや上司に最も求められているのは「上手に話す力」でも「説得力」でもありません。
「リーダーに求めるコミュニケーション力は何か」。私の会社で独自に1000人の会社員に行ったネット調査によると、1位は意外にも「人の話を聞く力」だったのです。46.6%の人が「トップはもっと社員の話に耳を傾けるべき」と考えているという結果でした。
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