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口を閉ざす職員たち
2013年、31歳でこの世を去ったNHK記者の佐戸未和さん。葬儀にはNHK関係者だけで600人もの人が集まった。労災認定後、遺族は法事のたびに娘の死が過労死認定されたことを伝えた。
NHKは、わが国の過労死報道をリードしてきた。彼女の足跡とともに、過労死の悲劇を発信する機会は幾度もあったことだろう。
しかし実際には死から4年、1532日もの間、情報は一部のNHK職員の中で管理され、外部公表されることはなかった。なぜそうなったのか。局内で、いったいどんなやりとりが交わされていたのだろうか。
佐戸記者の死について、第一発見者の婚約者を通じて、NHKに情報が伝わったのはその日の夜の10時過ぎ。第一報を受けた報道局の記者たちに衝撃が走ったが、その事実関係について調べる記者がいた、という話は耳にしない。翌日職場に行ったある記者はこう話す。
「『なんで亡くなったの?』とか、『亡くなったときの様子は?』と聞くのがはばかられる雰囲気でした。同僚に聞いても『いやいや、それはちょっと。いろいろ、責任問題とか……』と言い返されてしまって。幹部が記者全員を集めて報告するようなこともありませんでした。組合の集会でも話題になりませんでした」
半年ほど後、組合の役員はNHKのある管理職にこう耳打ちされたという。
「両親は労災申請をしているようだ。非常にデリケートな問題だから、組合も君もあまり触らないほうがいいよ」
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