過労死「31歳NHK記者」を追いつめた選挙取材の闇 NHK報道の二大柱「選挙と災害」その現場の過酷

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2013年7月にこの世を去ったNHK首都圏放送センター記者、佐戸未和さん(享年31)。
代理人の弁護士が勤務状況を精査したところ、亡くなる直前1カ月の時間外労働時間は209時間、2カ月前は188時間にも及んだ。当時、彼女が担当していたのは都議選と参院選の取材だった。選挙取材の何が彼女を追い詰めたのだろうか。
5回に分けて公開する1時間のドキュメンタリー映画『未和 NHK記者の死が問いかけるもの』連載の2回目。
連載1回目:31歳NHK女性記者「過労死」8年苦しむ遺族の証言
ドキュメンタリー映画『未和 NHK記者の死が問いかけるもの』第2回

(外部配信先では動画を閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンラインのサイト内でご覧ください)

NHK報道の「二大柱」

NHK記者が新人研修のときから教え諭される文言がある。

〈選挙と災害はNHK報道の二大柱となっており、報道部門にいる職員はその重要性を深く心に刻み、公共放送としての使命を達成するため日々業務にあたっている〉

選挙の業務とは何を指すのか。佐戸記者の上司だったNHK都庁クラブのキャップはこう説明する。

「選挙にかかる業務の大目標は、正確に当確判定するということです」

「選挙と災害」と言い切られるだけでも違和感を覚える職員はいる。災害はわかるが、人権や福祉・教育、経済や国際情勢も大事だろう、と。もちろん、選挙が重要ではないとは言わない。しかし、当確判定は二の次で、選挙の争点を明らかにし、各政党・候補者の政策を分析して伝えることに尽力すべきではなかろうか、と。

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