過労死「31歳NHK記者」を追いつめた選挙取材の闇

NHK報道の二大柱「選挙と災害」その現場の過酷

6月の都議選、7月の参院選と大型選挙が重なるなか、佐戸記者はどんな業務に追われていたのか。家族から託された携帯電話のメールを見てみると、取材を担当していたある野党関係者から頻繁に呼び出されていたことがわかった。

「ご都合のよいときにお話しできないでしょうか?」「何時でも待っています」

佐戸記者が足で稼いだ情報を待ちわびる党関係者から届いたメールは、4月から7月までの間に43通あった。

投票日の夜に、届いていたメール

その党は全国の党組織に向けて、こんな通達を流した。

「大手テレビ局の予測では……」「有権者の反応も変わってきているようで、この候補をぜひ東京から参議院に送り出したい」

佐戸記者にとっても、党関係者が伝えてくれる情勢分析は、正確な当確判定をするために欠かせないものだった。全国のNHK記者同様に、演説会場、政党事務所、記者クラブ、そしてNHKの票読み会議を駆け回る日が続いた。

投票日の夜、党関係者から佐戸記者にメールが届いた。

「当選となりました。佐戸さんの取材で私たちの位置を客観化できました。感謝」

(連載第3回に続く)

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