西村:C+podには超小型モビリティ用の衝突安全ボディを採用したとうわたれていますが、ボディの衝突安全性能は?
倉知:C+podは乗用車で一般的なモノコックボディではなく、超小型モビリティ専用のアンダーボディ骨格と、その上屋のボディ骨格の組み合わせで作られています。超小型モビリティであるC+podはボディサイズそのものが小さく、ゆえに衝撃吸収部分が小さくなります。よってそこは、強固なハイテン材を要所に使用して対応しています。
全面衝突、オフセット衝突は、ともに40㎞/hが法規制ですが余裕をもってクリアしています。さらにキャビンへの加害性を抑えるため各部のメンバーで衝撃を吸収しながら、前方から前タイヤに受けた衝撃はボディへ効率よく流して受け止めています。
また、ボディの左右方向に貫通させたアンダーフロアの強固なパイプで左右の荷重の流れをコントロールして、一部だけがひどく損傷することがないよう設計しました。車両重量670~690kgのC+podはフロアの下にバッテリー(100kg以下)を搭載しているため重心位置が低いので、われわれの行った前方からの衝突テストでは、車体後部が浮き上がるピッチング現象が大きく起きることはなく、計算通りに衝撃を吸収していることが確認できています。
側面からの衝突にしても、骨格でしっかりと受け止めながら、シート台座やシートのフレームが直接、衝撃の悪影響を受けない場所へ配置しました。これにより確実に衝突時の荷重を受けとめる構造と乗員の安全性が両立し、同時にバッテリーもしっかり保護することが可能です。
交通インフラとの整合性に課題
西村:2022年以降の一般ユーザーに向けた販売が楽しみですね。ただ、現状の交通インフラとの整合性については、もっと高める必要があるのかと思います。過去、各社の超小型モビリティによる実証実験車を公道で走らせてみると、たとえば丁字路で安全確認のために停止線位置に正しく停車すると、道路に設置してあるカーブミラーが、ちょうどボディのAピラー(フロントウインドを支える柱)と重なり、鏡面が遮られてしまうことが多々ありました。
C+podでは、パワーステアリングやブレーキサーボがないことから、ドライバー自身の確実な運転操作が求められる、ここも重要なのかと思います。
谷中:小さいクルマだからこそ、路地でも気兼ねなく走れて利便性が向上する。ここは疑いのない事実です。しかし、ご指摘のようにこれまでなかった注意点も浮き彫りになります。今後、一般ユーザーへの販売に向けては、こうした注意点を各方面で想像し、お客様にご案内をしていきたいです。
倉知:C+podは超小型モビリティとしての新たな乗り物です。新しい移動の拡張ともいえます。よって、社会的受容性の向上も大切です。お客様と対話しながら超小型モビリティの市場を作っていきたいです。そして最終的には我々トヨタが掲げる「Mobility for All」、「すべての人に移動の自由と楽しさを。」の概念を実現していきたいです。
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