西村:社会的受容性といえば、その向上が不可欠な自動化レベル3技術を含む「Honda SENSING Elite」を搭載した「レジェンド」が発売されました。レジェンドでは、エンジンを始動すると車体前後に埋め込まれた青色LEDが点灯し周囲に「条件付自動運転車」であることを周知しています。ボディサイズの小さなC+podにおいても、なにか周囲の交通環境にアピールする手段は持っているのでしょうか?
谷中:1991年からのASVにおける知見を導入し、なるべく高い位置に光源が配置できるような工夫をしています。また繰り返しになりますが、60㎞/h以下の車両であることを示すステッカーを貼って、超小型モビリティのルールを皆さんに知っていただくアピールを行っています。
使い勝手のプラスとマイナス
西村:すでに導入されている自治体や法人ユーザー様からの声、主に使い勝手など、プラスとマイナス、その両面をお聞かせください。
谷中:まずはプラスの面から。現時点におけるC+podの販売台数はまだ数十台ですが、その多くのお客様から「ボディサイズが小さい」ということに大きなメリットを感じていただいています。たとえば豊田市の地域医療センター様では、「小回りが利くから小さな路地でも運転しやすいし、巡回移動の際も、ボディサイズが小さいので路肩に止めやすく業務がはかどります。さらにC+podはEVですから静かで、夜間の住宅街でも気兼ねなく運転ができます」というお声をいただいています。
倉知:別のお客様からは、訪問介護でのエピソードをお聞かせいただきました。訪問先の高齢者の方は、もともとクルマ好きで、とくに小さいクルマに興味をもっておられたそうです。そこにたまたまC+podで訪問した際、普段は外出されないその高齢者の方が、クルマ見たさ一心で久しぶりに外出してくださった。その際、「ボディサイズが小さいので、これなら乗れるかな」と、満面の笑顔でお話しくださりうれしかった、とのこと。伺っているわれわれも嬉しくなりました。
西村:生活の質と呼ばれる「QOL(Quality of Life)」の向上のひとつに、その方が興味を持たれているものが大きな役割を果たすことは知られています。なかでも、クルマに始まる乗り物は移動の喜びを実感していた過去の実体験ともリンクするため、一層、効果的であると言われていますね。
谷中:つぎにマイナス面です。山間部でお使いのお客様からは、「登り坂での加速力が、EVというイメージからすると弱い」というお声をいただいています。そこは真摯に受け止め、この先の改善項目として受け止めています。
西村:私自身、残念ながらC+podの実車を見たことも、触れたことすらありません。よって、C+podのよさが理解できていないため、ここで実車のアピールをお願いします。
谷中:各部の操作感にはこだわりました。ボディサイズは小さくまとめましたが、使い勝手はこれまでのトヨタ基準で設計しています。なかでも乗降性にはひときわこだわりました。超小型モビリティという都市部移動がメインとなるモビリティでは頻繁な乗り降りが発生します。その乗り降りがストレスにならないよう、たとえばヒップポイント(地面からシート座面位置までの高さ)を650㎜弱としました。
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