トヨタ超小型EV「C+pod」一般に知られてない正体 2022年から一般販売「性能、使い勝手、安全性は?」

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西村:ヒップポイント650㎜は人間工学上、優れているとされ、乗降時の腰移動が負担なく行える値だといわれていますね。

ヒップポイントを絶妙にしたシート(写真:トヨタグローバルニュースルーム)

谷中:はい、シート形状とあわせてこだわりました。さらにC+podではドアの開口面積をたっぷりと採りました。全長2490㎜、全幅1290㎜のボディサイズ(軽自動車との比較で全長は約73%、全幅は約87%に相当)に、これだけ大きな開口部を実現するには衝突安全性能との兼ね合いもあって非常に苦労したのですが、ともかく乗降性にはこだわりぬきました。

実は、われわれの上司である豊島(トヨタZEVファクトリー:チーフエンジニア豊島浩二氏)がC+podに初めて乗った際、「スッと身体が入ってシートに座れるから腰への負担が少ないし、頭をかがめる必要もないので多くのお客様から受け入れていただける」と、われわれが狙った通りの評価を下していたので、「これはイケる!」と確信をもったほどです。

西村:画像や映像で確認する限りですが、運転席や助手席のフロア足元部分に段差がないので、足の出し入れもしやすそうですね。

倉知:左右ドアは開口角度を大きくとりつつ、乗用車と同じくチェッカー(開口途中で止まる機構)を設けて使い勝手を向上させています。

コムスとのすみ分けは?

西村:改めて、第一種原動機付自転車(ミニカー)枠である、たとえばコムスとのすみ分けは?

谷中:ミニカー規格である1人乗りのコムスに対し、C+podは2人乗りであり、なおかつ、ひとつの車内空間にラゲッジルームを設けました。ここが大きな違いです。また、ミニカー規格からもう少し利便性と高めたいお客様と、既存のクルマからお乗り換えいただくダウンサイザーのお客様、そのいずれのお客様からもC+podをお選びいただけるよう造り込みを行っています。ここもすみ分けいただけるポイントです。

西村:なるほど、たくさんの潜在的ユーザーを想定しておられるのですね。そうなると先進安全技術や、ボディそのものの衝突安全性能が気になるのですがC+podならではの取り組みは?

谷中:光学式カメラとミリ波レーダーの複合センサー方式による「プリクラッシュセーフティ」を採用しています。これにより車両だけでなく、昼夜の歩行者、昼間の自転車にも対応します。C+podは最高速度が60㎞/h以下に定められていますが、公道において対向車との正面衝突も考えられますので、C+podではそうした事象にも対応できるような設計としました。

具体的には60㎞/h以上にも対応できる上位車種でも使用可能なシステムを搭載しています。このほか、超音波ソナーを使った「インテリジェントクリアランスソナー」や、横滑り抑制装置である「VSC」やトラクションコントロール「TRC」、さらには車輪のロックを防ぐ「ABS」も標準で装備しています。

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