西村:法人ユーザーや自治体などを対象に限定販売からスタートされた経緯は?
谷中:個人ユーザーのお客様にもお使いいただきたい、その願いは開発当初から信念として貫いてきました。しかし、C+podを発売した後、「あとはユーザーの皆さまがご自由にお使いください」というだけでは普及は望めません。
西村:「売りっぱなしにはしない」ということですね。具体的には、「どこで、どういった用途に、こうして使うと便利です」という活用例を挙げることが重要である、そういった発想から、まずは自治体や法人向けの販売となったという考えでしょうか?
谷中:はい、そうです。さらに充電場所や充電設備(C+podは普通充電のみに対応)はどうやってご準備いただくのか、実質的な負担を減らすためにどんなリースの仕組みがあるかを考えました。自治体や法人向けとしてC+podの発表会を催した際に、一緒にこうした普及方法まで考えていただける方々を募り、そこで各方面の議論を重ねてきました。
トヨタの過去の知見はどう生かされている?
西村:トヨタには以前から「Ha:mo(ハーモ)」という枠組みで、C+podのような超小型モビリティと公共交通をつないで、シームレスで快適な移動と地域の交通課題解決を目指したプロジェクトがありました。筆者も、過去から豊田市での実証実験を何度も取材させていただき、トヨタのパーソナルモビリティである「i-ROAD」や、コムス、電動アシスト自転車のヤマハ「PAS」などを活用した取り組みを体験しました。そこでの知見はC+podの普及に役立つのでしょうか?
谷中:はい。Ha:moにおいて、たとえばコムスをお使いいただいた方からのご意見を参考に、C+podでは「ドア付き全天候型」であることや、「2人乗り」であることを実現しています。さらに、この先の活用方法のひとつとして考えられるカーシェアリングにおける取り組みでも、Ha:moで得られたノウハウを導入したいと思います。
西村:2022年以降、一般の方々への販売がスタートするわけですが、初の超小型モビリティと接することになるわれわれとして考えておくべき点はどこですか?
谷中:開発陣としては、皆さまがお乗りになっている従来のクルマとの違いをなるべくなくして、特別な意識なしでお乗りいただけるよう注力しました。トヨタとして過去に発表してきたパーソナルモビリティや超小型モビリティはたくさんありましたが、研究段階の車両も多くありました。
西村:i-ROADでは二輪車のように車体を傾かせる「傾斜走行」が特徴的でしたね。
谷中:そうなんです、そこは独特でした。C+podを発売するにあたって、乗り味は普段お乗りの乗用車と同等を目指しながら、操作感にしてもAT車やCVT車と同じような方向で造り込みました。
倉知:そのうえでこの先は、メーカーとしてどうお使いいただきたいのか、わかりやすいマニュアルを制作します。こうした普及に対する積極的な取り組みは、国土交通省からも推奨されています。さらに、C+podにお乗りいただく以外の方々にも、超小型モビリティの枠組みをわれわれから周知して必要があります。車両を販売するだけでなく、超小型モビリティの普及には社会的受容性の向上も必要だと考えています。
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