インドの都市化はほかの新興国に比べてゆっくりと進んでいます。都市に住む人口の割合は2001年の28%から、11年に31.1%に達したに過ぎません。これはほかの新興国に比べるとまだ低く、インドの都市計画が充分なものだったのかという疑問がわき上がります。しかしナレンドラ・モディ首相の時代を迎え、都市化のスピードは過去よりも高くなると期待されています。国家計画委員会によると、都市人口は31年に6億人となり、11年比6割増になる見通し。インドではかつてないスピードで都市の膨張が始まりそうです。
スラム人口は1億人に
現状をみると、インドは都市化をめぐってめまいがするような難問に直面しています。多くの都市は無計画で場当たり的なやり方で発展してきたため、住宅の思わぬ不足が起こりつつあります。住宅・都市貧困緩和省(MHUPA)によると、2012年の住宅不足は1900万戸に上りました。
またスラムに住んでいる人口は、2011年の6600万人から2017年の1億0500万人に増えると予測されています。大気汚染は世界最悪レベル、騒音公害も深刻。不適切な交通管理により交通事故も絶えません。インフラの不足によるコスト増大も指摘されています。たとえば、都市部の水不足により、その地域の人々は明らかに高いコストを払わなければならなくなっています。
しかしだからといって、インドが正しい方向に進もうとしていなかったわけではありません。政府は住宅政策やスラム解消の構想を試みてきました。多くの州では関連法制も施行されています。
10年ほどさかのぼると、政府は過去最大規模の都市インフラ整備計画であるジャワハルラール・ネルー国家都市再生ミッション(JNNURM)を施行しています。都市開発省によると、JNNURMは2012年3月までに112億ドル相当のプロジェクトを認可しているとのことです。しかしこれらのプロジェクトは必ずしもインドの都市の風景を一変できたワケではありません。なぜなら、これらのプロジェクトは都市開発にかかわるほかの要素と歩調を合わせてはいないからです。このままではインドの都市計画は経済成長に資せず、国民の生活を安らかなものにすることができません。
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