インドの水道インフラは、なぜ崩壊したのか

インドで展開する水プロジェクト<第2回>

 「インドで最悪の水環境」。そう呼ばれるのが、世界遺産タージマハルが建つ町アグラだ。世界で最も劣悪な水を飲まざるをえない130万市民。彼らの水環境改善のため、日本の支援で画期的なプロジェクトが始まっている。

 国が推進し、官民連携で海外進出が試みられる「水インフラ」の輸出。しかし実際には、多くの現場で順調に成果が上がっているとは言いがたい。実はアグラでの計画も例外ではない。プロジェクトを阻む問題とは何か。インド・アグラから、海外で展開する日本の水事業の姿に迫る。


※<第1回目>世界最悪の汚さ、インドの水道水を救えるか

1日2時間だけの水道水の理由

アグラ中心部からヤムナ川を越えた先に、トランスヤムナ地区など庶民が住むエリアが広がる。ここでは毎日、朝になると決まって繰り広げられる風景がある。

重いバケツを持って路地を行き交う人々、街角に列をなし水を汲む老若男女、次々と道端に並べられる水瓶、たらい、ポリタンク。どれも必死に水を確保しようとするアグラ市民の様子だ。

アグラでは水道管に水が流れる時間は、1日わずか2~3時間ほどしかない。水道への配水は早朝の一瞬だけ。飲み水に使用しなくとも、トイレや洗濯などの生活用水は必要となる。購買するボトルウォーターで全部をまかなうわけにはいかない。その日に必要な水すべてを得ようと、水が出る場所に住民が群がる。

そもそもアグラでは、急増する人口と工業化で高まる水の需要に、給水量が追いついてはいない。ヤムナ川から取水し浄水処理を行う施設は足りず、あっても老朽化で能力を発揮できない。必要量が増えているのに、不十分なメンテナンスからアグラの水の供給力は相対的に低下している。

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