インドで始まった電力セクターの近代化 世界4位の電力大国の変革

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「停電は当たり前」から脱出できるか(撮影 omer sukru goksu)

ナレンドラ・モディ首相が3期州首相を務めたグジャラート州での功績の一つが、電力セクターの改革です。インドはしばしば停電が起こることで有名ですが、グジャラート州はインドで唯一の電力が豊富な州となりました。

モディ首相は送電と料金徴収の仕組みを改善したのでした。その結果、電気料金はほかの州より割高になりましたが、安定的に供給できるようになりました。

このグジャラート州の電力改革を、インド全土にも広げられるか。これがモディ政権の今後の課題です。インドでは州ごとに発電・送電モデルが違うため、電力部門の大掛かりな改革計画が必要になりそうです。多くのインド人が電力部門の徹底改革を望んでいるのです。

人口の3割近くがまだ無電

世界銀行によると、インドの発電量は1兆0520億キロワット時(2011年)で、中国、米国、ロシアに続く世界4位の電力大国です。この発電量は独立時に比べて100倍に伸びた計算です。

しかし急速な経済成長で需要が供給を超えており、インド全体の電化率は75.3%にとどまっています。3割近くの人がまだ電気のない生活を送っているのです。また停電や電圧の低下も日常茶飯事です。電力は最も必要不可欠なインフラであり、人口大国インドの成長のカギであるにもかかわらず、インドでは安定的に供給されていません。そして電力需要は今後もさらに伸びる見込みですから、このままでは問題がさらに深刻化してしまいます。

また、インドの電力問題はインド文化のように多様性に富み、複雑です。エネルギー源は石炭、亜炭、天然ガス、石油、原子力、そして風力、太陽光、農業・家庭廃棄物など。そこに管理の緩さ、不明確な規制、盗電、政治的干渉などさまざまな問題要素がからみ、一朝一夕には解決不可能になっています。

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