一方で企業側もそういった大学生を取り巻く状況を理解している。大手メーカーの人事担当者は「重要なのは、その方の価値観が自社にフィットするか。大学3年生のときの活動だけに焦点を絞るのではなく、どんな考え方でこれまでの人生を過ごされてきたのかをみている」と話す。
わかりやすいエピソードがないからといって自信をなくす必要はない。過去の経験を丁寧に棚卸しして言語化し、人となりを相手に伝えられるように準備することが重要だ。
2つめは、企業選び。オンラインで説明会などに参加しやすくなり、選択肢が増えたが、むしろ学生は「どの企業に応募すべきか」に迷ってしまっていることだ。
オンライン化によって、授業の合間にどこからでも選考に参加できる気軽さや、会場の人数制限を気にすることなく説明会を開催できるようになったことは大きな利点になっている。しかし、その気軽さゆえに、闇雲に人気企業の説明会に参加し、「就活をしている気になっている」という状況に陥る学生が垣間見られる。
行動量を増やすことや幅広く業界をみることは大事だが、まるで動画サイトで動画を流し見するような感覚で各企業の説明会に参加をしていると、結果的に気づきを得られず、自分が何に興味があるのかがわからなくなってしまう。
1つ1つの説明会の参加に目的を持ち、感じたことを振り返ることによって、自分自身が企業選択において何を重要視しているかを見極めることが大切だ。
明暗を分ける「企業研究」のやり方
3つめは、「企業研究」のやり方がかわったことによる壁だ。限られた情報で理解を深めなければならないが、苦戦している学生は、選考過程で企業理解が深まらず、志望理由がうまく人事に伝えられていないケースが多い。
前出の「オンライン就活の実態調査」で、内定を得た学生に、内定企業の選考方法を聞いているが、「全プロセスがオンラインで完結する企業のみだった」と回答している割合が52%と半数を占めている。
そうしたオンライン完結の選考の場合、オフィスの雰囲気や社員とコミュニケーション機会など、会社の雰囲気や社員の人柄に触れる機会がどうしても少なく、「会社の雰囲気がわからない」といった学生からの不安の声も多い。
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