2022年卒の新卒採用活動に関しては、すべてオンライン選考で完結させる企業が少なくなかった。ただ、就活のオンライン化は、多くの就活生には好意的に受け入れられている。2022卒学生向けに実施した「オンライン就活の実態調査」によると、91.5%の学生が「オンライン就活にメリットを感じる」と回答している。移動時間や交通費といった負担が軽減され、学生にとっても利点は多い。
その反面、オンライン選考ならではの難しさもある。ある企業のグループワークの選考を担当した社員は、「これまでは、表情や声の大きさ、姿勢などを参加態度として評価をしていたが、オンラインだと画面上で読み取るのが難しい。1人1人の発言内容をより注視するようになった」と話す。
ノンバーバル・コミュニケーション(非言語コミュニケーション)における情報量が少なくなった分、「言葉で自分の伝えたいことを表現する」ことの重要性が選考において増しているのだ。
この変化に、苦戦を強いられている就活生が実は多い。
実際、「オンラインだと本来の自分が伝わらないのではないかと心配だ」「画面ごしで熱意を伝えるのが難しい」という声も学生から多く上がっている。笑顔や明朗さなどで印象付けをするというのは意識することで身に付けることができるが、今はそれよりも本質的な「自己理解」「企業理解」そして、「言葉で自分を表現すること」が求められているからだ。
気軽さの裏にある、オンライン就活の壁
苦戦をしている就活生の話を聞いていると、主に3つの壁に苦しんでいるようだ。
1つめは、ガクチカ(=学生時代力をいれたこと)が不足しており、企業に自信をもって自己PRできないと悩む学生が増えている点だ。
2022年卒の学生の多くは、大学3年生のときに研究活動や留学、アルバイトやサークル活動など多くの制限を受けた。新型コロナウイルスの情報も社会的に少ない時期だったこともあり、各種大会や学園祭などが軒並み中止され、思うような活動ができずに涙をのんだ人も多い。「学生時代に頑張ったことを聞かれても困る」というのも学生の偽らざる本音だろう。
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