ローソンがあのH2Oと「関西攻略」に懸ける思惑 アズナス転換だけでない西の大物と提携の意味

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

代表例がデータ活用だ。H2Oは阪急阪神ホールディングスと共同で「Sポイント」というポイントサービスを展開する。これにローソンで使えるポンタカードなどの情報も連携させることで、H2Oは消費者の購買行動をより深く追えると見込む。「スーパーと百貨店だけでは顧客との接点を持ちきれない。ローソンとデータでも協業し、関西の顧客すべてとつながる小売りでありたい」(H2Oの荒木社長)。

さらにH2Oが傘下に持つ、総菜などを製造する子会社などを含めた、グループ全体でのローソンとの相乗効果に荒木社長は期待を寄せる。

提携発表会見に臨んだローソンの竹増社長(右)とエイチ・ツー・オー リテイリングの荒木社長(記者撮影)

一方でローソンにとってのメリットは何なのか。竹増社長は「駅を降りたところに店舗があるのは、(通勤通学などの)オンザウェイに必ず店があるということ」と語り、乗降客数が回復すれば、アズナスの店舗網で顧客を取り込める余地は大きいと見込む。

もっとも、ローソンはフランチャイズを中心に全国で1万4600店を展開する。アズナスからの転換で98店を新たに手に入れたところで、売り上げなどの面で得られる直接的な連携効果はさほど大きくない。

セブン&アイと提携の過去

ローソンの竹増社長とH2Oの荒木社長は、アズナスの業績悪化を受けて2020年秋から業務提携に向けた話し合いを進めてきた。その中で、アズナスのフランチャイズ化以外にも「両社で新しいことができるのではないか」と話が弾んだという。

実はコンビニ大手との提携という点では、H2Oは2016年、セブン&アイ・ホールディングス(HD)と資本・業務提携の合意を発表していた経緯がある。

だが、徹底的に標準化した店舗を全国に広げるセブン&アイHDの企業風土が、店舗ごとの独自性を重視するH2Oと合わず、その後の話し合いは進展しなかった。結局、提携の成果はセブン&アイHD傘下の「そごう神戸店」と「西武高槻店」のH2Oへの譲渡と、関西圏のセブン-イレブン店舗へのSポイント導入にとどまり、資本提携の話は立ち消えとなった。

次ページH2Oがローソンを提携先に選んだ理由
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事