ローソンがあのH2Oと「関西攻略」に懸ける思惑 アズナス転換だけでない西の大物と提携の意味

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今回の提携先にローソンを選んだ理由について、H2Oの荒木社長は「ローソンは(展開する事業の)先進性、独自性があり、進取の姿勢を持っている」ことを評価したと説明。ローソンの竹増社長は、経営戦略の方向性においても両社の意図が一致した提携だと強調する。

「全国同じモデルで平準化するのがコンビニの戦略だったが、地域主義、個店主義を取り入れないと、これからの道を切り開けないと思っていた。荒木社長の(経営資源を関西圏に集中投下する)『関西ドミナント化戦略』が、ローソンの考えと合致した」(竹増社長)

実際、関西の住民にとって「阪急」「阪神」のブランド力は絶大だ。ローソンが関西の地域性に合わせた店舗戦略を強化するに当たり、これらブランドの冠を付けた商品販売などにつなげられれば、新たな付加価値も見込める。

ローソンは、クリスマスやバレンタインなどに合わせた季節商品を販売している。こうした季節商品を販売する際に、現地で圧倒的なブランド力を誇る「阪急うめだ本店」のクリスマスやバレンタイン商戦などといった、百貨店の催事と連携することも検討する。

資本提携に発展する可能性も?

まずはローソンでの協業から始まるが、ローソングループ全体を見渡せば、百貨店と顧客層の近い成城石井などとの協業に発展する可能性もある。

荒木社長は今後の資本提携の可能性について、「将来、提携の成果として一緒にやった方がよいという話が出るかもしれないし、そういう形があるのが望ましい」と言及。ローソンの竹増社長は「ローソンとH2Oで関西圏を支えていると実感できるような、関西ドミナント化を進めていきたい」と力を込める。

コロナ禍で在宅時間が増え、家から近いコンビニの価値が見直される中、足元ではセブン-イレブンやファミリーマートも地域の需要に合わせた商品展開の強化を急いでいる。関西で存在感を高めるうえで強力なパートナーを得たとはいえ、ローソンも今回の提携に安住している時間はなさそうだ。

遠山 綾乃 東洋経済 記者

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とおやま あやの / Ayano Toyama

東京外国語大学フランス語専攻卒。在学中に仏ボルドー政治学院へ留学。精密機器、電子部品、医療機器、コンビニ、外食業界を経て、ベアリングなど機械業界を担当。趣味はミュージカル観劇。

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