日本人が知らぬ超難関「ミネルバ大学」破壊的凄み 世界のエリートが熱視線、ハーバード蹴る人も
学費の低廉化と新しい教育法の全面展開
2010年代半ば、少人数型教育のオンライン化を徹底させることに挑戦したのが、ベン・ネルソンが創設したミネルバ大学である。同大学設立の背景にあったのは、アメリカのエリート大学の現状に対する批判だった。
まず何よりも、アメリカの大学は学費が高くなりすぎている。ネルソンらには、学費に見合う教育を学生たちは得られているのか、同水準の教育は、もっと安い学費でも可能なのではないかという疑問があった。実際、教育成果についての大学側の評価と実業界の評価には大きな乖離があった。加えて、これまで効果的な教育方法がさまざまに提案されてきたのに、それらが実行されていないという不満もあった。
アメリカのエリート大学では、高い学費のために出身階層が限定的になることに加え、留学生率も学部では決して高いわけではない。世界がこれだけグローバル化していながら、アメリカのエリート大学の学部教育は意外なほど同質的なのだ。このような大学の現状に対し、ネルソンらはミネルバ大学の学生たちに真にグローバルで多文化的な経験をさせ、そこから知的思考を深める習慣を身につけさせていこうと考えた。
学費の低廉化と新しい教育法の全面展開、そして実社会との連続的な関係形成と真に多文化的な学び──これらを同時に実現するために、ミネルバ大学はキャンパスを持たないこと、つまりオンラインを徹底させることと、少数精鋭の高度な教育を実現することを結びつけた。
オンラインで大学経営を成り立たせるだけなら多くの類似例があったし、日本ではそれを売り物にする受験予備校もある。だが、ミネルバが目指したのは、あくまでエリート大学が実践してきた以上に水準の高い少数精鋭教育をオンラインで実現することだった。
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