日本人が知らぬ超難関「ミネルバ大学」破壊的凄み 世界のエリートが熱視線、ハーバード蹴る人も

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授業の具体的な組み立ては、指定文献の事前予習を前提に徹底した討論を基本にする点で、多くのアメリカのトップ大学の授業と大差はない。しかし、現場のプロジェクトに半分身を置き、さまざまな現実的課題に直面しながら、もう半分の身でオンライン上の理論的討論を重ねていくのと、単に文献と概念的な議論の間を行き来するだけなのとでは、教育効果に雲泥の差が出るはずだ。

コロナ危機を経て、Zoomなどでの授業が当たり前になった今の大学教師にとって、ミネルバ大学が実施してきたオンライン授業のフォーマットは、パソコン画面の印象としてはすでになじみ深いものである。

しかし、ミネルバ大学はこのスタイルの授業をコロナ危機のずっと前から実践していた。2020年、多くの大学が否応なしに取り入れていったのとは異なり、同大学はその方式こそが最も効果的だと判断して、適切なソフトウェアを開発し、教育の総合的な仕組みのなかに取り込んだのである。

その分だけ、学生全員からの発言を効果的に引き出す仕組みや発言へのフィードバックの仕組み、授業がすべて録画され、後の分析の対象となることなど、オンライン授業をどう活用するかが考え抜かれている。

大学オンライン化への2つの地殻変動

こうしてみると、コロナ危機で全世界的に大学オンライン化への津波が起きる以前から、大きく異なる2つの方向でのオンライン化への地殻変動が始まっていたことがわかる。

一方は、OCW(オープンコースウェア)からMOOC(大規模オンライン公開講座)までのオープン・エデュケーションの流れで、オンラインを通じて通常の授業以上に作り込まれたコンテンツを大規模な受講者に届けていく方向である。

他方はミネルバ大学が示したように、アメリカのエリート大学が実現してきた少数精鋭の討論型授業のさらにその先にある学びのかたちを先端的に実践していく方向である。

ミネルバ大学の挑戦が示唆するのは、「オンライン」という新しい教育パラダイムが、既存の少人数対話型授業の遠隔化以上のことを実現可能にすることだ。

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