キヤノン、カメラ不振も全社的コスト削減奏効 カメラ市場の縮小は止まらず

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レンズ交換式のカメラの不調は一時的なのか

「コストダウンが期初に見込んだ以上にうまくいっている」――。

キヤノンの田中稔三代表取締役副社長CFOは収益力の改善には自信を見せた。一方、カメラの需要については「台数が下がることは致し方ない。しかし今年がボトムと思っている」と説明した。

同社は7月24日に2014年12月期の第2四半期決算を発表した。4~6月期の売上高は9268億円、営業利益は1105億円、当期純利益は808億円。前年同期比で見ると、売上高は401億円の減収だが、営業利益は121億円の増益を達成した。これを受け、会社側は通期の業績予想を売上高3兆8600億円から3兆7800億円へと下方修正した一方、利益については営業利益3650億円、純利益2400億円の従来予想を据え置いた。カメラ市場の縮小が止まらず、オフィス事業も微増にとどまったが、好採算製品の比率上昇とコストダウンで踏ん張った形だ。

会社の見方はカメラ市場の動向についてはやや楽観的。一方、コスト削減及び商品構成の変化による利益率上昇の効果については保守的であり、売上高は会社予想を下回る恐れがある一方、営業利益、純利益はそれぞれ3750億円、2460億円程度は達成するとみられる。

カメラ市場の動向が今後のカギ握る

第2四半期の前年同期比での減収の大きな要因はカメラ売り上げの急激な低下だ。コンパクトカメラはスマートフォンによる代替が進み、海外の景気回復がスローペースなためか、一眼レフなど高額品も回復が鈍い。カメラ市場全体が縮小している。第2四半期のカメラ販売台数はコンパクトカメラで前年同期比約37%、レンズ交換式カメラで同約18%も減少している。

その結果、カメラ事業を主体としたイメージングシステム事業の売り上げは前年同期比13.9%減の3323億円となった。これを受けてキヤノンは今期のカメラ販売見通しを下げ、コンパクトは1050万台から950万台、レンズ交換式を760万台から700万台に変更した。

プリンターをはじめとしたオフィス事業も決して好調とは言えない。売り上げを見ると4~6月期は前年同期比で辛うじてプラス25億円、0.5%の増収を達成しているが、これは円安によるもの。為替によるカサ上げ効果をのぞくとマイナス約160億円、3.1%の減収に転じる。

では、なぜ二ケタ増益を達成できたのか。その要因は二つある。

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