管理費が高騰「新築マンション」賢い物件の選び方 住宅ローンは最長35年だが維持費は一生かかる

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例えば月1万円ほど維持費が高い場合、その差を価格に反映させると420~600万円上乗せすることになる。これは中古マンションを買うときは多くの人が気づく。しかし、新築の場合は盲点になりがちだ。新築を買う人もほかの新築もしくは中古マンションの維持費を計算して比較しておこう。

計算は簡単だ。管理費÷専有面積の相場単価は200~300円、修繕積立金はその半額程度だ。これが中古では月額で明記されている。住宅ローンの月返済額にこの維持費を加えたものがマンション関連で支払う費用になる。

中古で購入物件が2つに絞られたときに、この費用を比較して、ギョッとすることがある。例えば、隣接ホテルのサービスが受けられる湾岸のマンションは売れないことで有名だ。維持費が高すぎて最後にドン引きして辞める人が続出するからだ。

こうした住宅ローンの返済以外の費用が高くて売れないものに、借地権マンションの借地料という場合もある。通常は土地を借りているので、その固定資産税代程度が多いが、非常に高いケースもあり、こうしたケースでも売りは大苦戦することになる。売れないだけでなく、その維持費の割高な分の数十年分を価格から差し引かないと売れないと考えてもらえばいいだろう。しかし、本来はもっと高く売れるのに、高い維持費に横取りされたような気分になるのである。

管理費高騰の背景

管理費は㎡/200円と相場がほぼ決まっていた。しかし、深刻な「人手不足」の中、管理に携わる人件費もご多分に漏れず高騰した。そんな折に新型コロナが襲来。在留資格を持つ外国人の減少は働き手不足を助長する結果となった。

既存の物件では管理費で利益が出ない事態に陥り、契約を継続しない企業も出始めていた。管理費の値上げは簡単ではない。なぜなら、管理組合の理事会を通して、住民の合意を取り付けないといけないからだ。そうなると、コストが拡大する中で管理会社は苦境に陥る。事業性だけでいったら、採算の悪い事業になってしまっている。

そこで管理会社の稼ぎどころは大規模修繕となっている。既存の物件でこれを丸請けできれば利幅が見込めるからだ。

しかし、大規模修繕については、「マンション『大規模修繕』を予算内に抑える方法」で書いたように、必要性に応じて適切に実施することが重要なので、「適切」をどのように見出すかが最大のポイントとなる。大規模修繕で資産価値が上がったためしはないので、必要以上にお金をかけても、居住者の安心と満足以外得られるものはない。

大規模修繕も冒頭の新築物件では㎡単価500円と破格に高かった。これはグループの管理会社が利益を出せるようにした売主の内部事情にすぎない。こうした物件はその分安くしか売れなくなることは前述したとおりだ。充分に気をつけなければならない。

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