ダメ部下に苦しむ上司を救う「ささいな習慣」 在宅勤務でも有効、1日1行でいい「ノート術」

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部下ノートの詳しい書き方は『1万人の部下をぐんぐん成長させたすごいノート術 部下ノート』に掲載していますが、ここでは簡単に説明していきます。

指導力が上がる部下ノート(画像:『1万人の部下をぐんぐん成長させたすごいノート術 部下ノート』抜粋)

まず、上の記入欄に、何度も同じことを聞いてくるとか、最近売り上げが減っているとか、部下の気になった行動を書きます。

そして、次に下にそれに対して、部下にどう指導したかを書いていきます。そして、1週間後に、自分の指導によって行動が変わったかを○、△、×の三段階で評価し、3週間を目安に、成果につながったかを同じように○、△、×の三段階で評価します。

○は成果が出た、△がこれからうまくいくかもしれない、×がダメだったという感じです。行動が×であれば、指導自体を見直して、成果が×の場合は、成果を出すためには、どうすればよいのかを改めて考えます。

アプローチの可視化

上司というのは、意外に自分が部下に対して、どんなアプローチをしたのか意識して覚えていないものです。部下ノートをつけると、場当たり的に行っていた指導が記録され「見える化」されることで、精度の高い次の一手が打てるようになります。

部下ノートを使って、定期的に、部下の行動と自分の指導方法をチェックし、「どういうアプローチをしたらいいのか」を見直すことができます。

これを繰り返していくことで、その人にとってベストなアプローチ方法が見つかり、驚くほど部下が成長していきます。

特にこれからのテレワーク下、接触機会が減少するため、どうしても上司と部下の間に溝ができやすくなってきます。

部下とあまり会わなくなったからこそ、メールやWeb会議でどういうアプローチをしたかをチェックして記録して、最善のアプローチ方法を探していくことは重要です。

『1万人の部下をぐんぐん成長させたすごいノート術 部下ノート』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

先述したように、1日1行で構いませんし、馴れるまでは、単なる悪口でも構いません。部下のことをよく見るくせを、そして部下のことについて、毎日記録する習慣をつけることが大切なのです。

部下が成長すれば、一番得するのは、上司です。部下によって受けるストレスが減り、部署の成績が上がれば、管理職としての評価は高まります。

そして、会社が成長します。詳しい話は本書に譲りますが、営業のノウハウの伝達がうまくいくようになり、売り上げが前年比1.5倍になった、ミスの洗い出しで、3000万円のコストダウンになったといった成果が出ています。

コロナ禍で業績が気になる会社の幹部にとっても、部下ノートは有効です。部下ノートは、すべての上司にとっての「救い」になると確信しています。

望月 禎彦 人事政策研究所代表

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もちづき よしひこ / Yoshihiko Mochizuki

1960年生まれ。ユニ・チャーム株式会社にて営業を経て人事部で採用、研修の実務を経験。92年に独立。主に中堅企業の人事政策を支援。「できる社員」を着実に増やし、成果をつなげる手法は、多くの企業で指示され、支援先は、300社を超える。2010年には人事評価ASPシステム「コンピリーダー」を開発し、台湾、香港なども含め1000企業が導入している。また、コンスタントに年間1000人以上の経営者マネージャーに実践ノウハウを提供し、「部下ノート」を通じて約1万4000人を育成した実績を持つ。著者に『なぜあの会社の社員は、「生産性」が高いのか?』(フォレスト出版)などがある。

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