「人は見た目じゃない!」人類の理想が実現する日 さらば差別!「ネオヒューマン」の平等な世界

拡大
縮小

私は幼少期にアメリカで暮らしていたのですが、私が住んでいた地域では、ゲイもレズビアンもみんなオープンでした。小学生の女の子が、好きになった男の子に告白して、「I'm gay.」 と言われてしまうということも普通にありましたし、中学生になれば、男女でも、ゲイ、レズビアンのカップルでも、気にせずイチャイチャしているという風景が当たり前でした。

『NEO HUMAN ネオ・ヒューマン――究極の自由を得る未来』 刊行記念イベント 「テクノロジー×倫理×アートの白熱対談! 未来の人類『ネオ・ヒューマン』の姿とは?」を開催します。詳しくはこちら

日本に帰国して、まだまだ同性愛者は受け入れられていないんだなと思いましたが、ピーターさんの子ども時代はもっとひどかったわけです。

しかし、ピーターさんは、大変な逆境を乗り越えて、恋人のフランシスさんとご結婚もされています。さらに、難病になっても、それを科学の力で乗り越えていきます。どんなときも未来をポジティブに捉えており、フランシスさんを説得して引っ張っていくほどの強い思い、信念の強さもあります。

協力者だと思っていた人々に裏切られる場面もありましたが、それでもまた自分で動いて、基金を立ち上げ、一からやり直していく。経営者としても共感するものがありましたし、率直にすごい人だと感じました。

帰国子女としての葛藤

ピーターさんが体験した子ども時代の葛藤は、帰国子女であった私にとっても、共感する部分がありました。

井口恵(いぐち めぐみ)/Kanatta代表取締役社長。2010年横浜国立大学経営学部卒。監査法人やファッション業界での経験を経て、2016年に株式会社Kanattaを創業し、COOに就任。2019年より現職。「ジェンダー平等の実現に貢献する」ことをミッションに、ドローンジョプラス、コスモ女子、エシカルガールの3つの女性コミュニティを運営し、さらに多くの女性の夢の実現をサポートするためにクラウドファンディング事業を展開している(写真:Saho Ueda)

アメリカで育ち、13歳で日本に帰国した私は、周囲からなかなか理解してもらえない子ども時代を過ごし、「自分は他の人とは違う」という点でずっと葛藤してきました。

アメリカでは、人種も言語も違っていて当たり前でした。もちろん、女性が好きか、男性が好きかということもです。また、日本では、障害のある子どもは障害者学級に振り分けられていますが、アメリカでは同じクラスで一緒に学んでいました。

グループワークでは、成績優秀な子どもと、発達障害のある子どもがチームを組むということを先生が勧めていましたし、運動会も身体に障害のある子どもと一緒に参加していましたから、私にとっては身近な存在でした。

そういった「人と違って当たり前」という文化のなかでは、大変なことはあっても、心の葛藤というものはありませんでした。

しかし、13歳で日本に帰国したとき、「私は日本人なのに理解してもらえない」という苦しさを抱くようになりました。学校の教育制度も違いますし、アメリカで育ったために、考え方も周囲の人々とはまるで違っていたのです。

次ページ日本社会での葛藤が「ジェンダー」への問題意識を生んだ
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT