「人は見た目じゃない!」人類の理想が実現する日 さらば差別!「ネオヒューマン」の平等な世界

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声を上げるという面では、ALSもまだまだ理解されていない部分の多い難病です。

弊社は、女性中心で人工衛星の打ち上げプロジェクトに取り組むコミュニティ「コスモ女子」を主宰しています。「コスモ女子」では、今年4月に、ALS治療の研究開発のために活動されている「せりか基金」さんとコラボして、チャリティイベントを開催しました。

「せりか基金」とは、大人気コミック『宇宙兄弟』に登場する、伊東せりかというキャラクターのストーリーがきっかけで設立された基金です。せりかは、子ども時代に父親をALSで亡くしたことをきっかけに、「父を苦しめたALSをこの世からなくしてしまいたい」という信念のもとで医療の道を歩むという設定なのです。

もともと『宇宙兄弟』を読んだことから宇宙に興味を持つ人は多く、そこから「コスモ女子」に参加してくれた方も多いため、ぜひコラボさせていただきたいと考えました。

しかし、打ち合わせを重ねる中で、それまでのご経験から、ALSという病気について、誤解を招くような表現や間違った情報が伝わってしまうことを危惧されていることが伝わってきました。何より正しく情報が発信されることを大事にされているのです。

わたしたちも、イベントの開催にあたりALSについて勉強を重ねていく中で、難病の基金を立ち上げる難しさについてもいろいろ知ることができました。

まだ明らかになっていないこともたくさんあるという難病で、日々動けなくなっていくことに葛藤されている患者さんやご家族の方が実際いらっしゃるわけです。その葛藤を正しく理解しなければ、活動基金の意義についてもきちんと伝わりません。

『ネオ・ヒューマン』は、その点についても、本当によく理解できる1冊だと思います。

葛藤を乗り越えるVRの未来

弊社では、理系分野のコミュニティを主宰していることもあり、VRやAIには早くから注目してきました。

『ネオ・ヒューマン』には、ピーターさんとVR、AIとの融合が描かれていますが、やはり、飛躍的なイノベーションは、逆境や障害を乗り越えなければならないときにこそ生まれるものだと思います。

いまは、コロナ禍であらゆることにさまざまな制限のかかっている時代です。人と会えない、いろいろなやりづらさのある時にこそ、テクノロジーは発展するだろうと思います。

特に、VRの活用については、なにもALS患者さんだけに限ったものではないと思いました。

例えば、LGBTの方には、外見と中身が異なっていることが原因で、実生活において、つらい葛藤を抱えている方が大勢います。VRの世界が広まれば、そういった方々にとっても、自分の性別と一致した理想の外見で勝負するということが実現できるのではないでしょうか。

高齢者の方も同じです。これからは人生100年、120年まで生きるという時代です。しかし、いくら長く生きることが良いことだと言っても、体が動かなくなってしまったら、120年も生きたくはないなと思っている人は少なくないでしょう。

そこに、ピーターさんが描いたようなVRやAIの世界が実現すれば、どうでしょう。そういった世界を「怖い」と感じる方もいらっしゃるとは思いますが、私は、ポジティブに捉えていますし、長生きしたくなるのではないかと思います。

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