6月1日から全土で大規模な都市封鎖が始まったマレーシア。
ムヒディン・ヤシン首相は、都市封鎖前日のテレビ演説で「ロックダウンを実施しなければ、医療システムが崩壊してさらなる惨事を招く」と危機感をあらわにし、国民の理解と結束を呼びかけた。
100万人当たりの新規感染者数はインドを上回る
マレーシアでは新型コロナの新規感染者数が、4月中旬以降増加の一途をたどり、5月29日には1日当たりの新規感染者数が9020人と初めて9000台に。5日連続で過去最高を記録し続けた。マレーシアの人口は日本の約4分の1だが、5月31日時点で合計の感染者数は57万2357人、死者数は2796人まで膨れ上がっている。人口100万人当たりの新規感染者は5月29日までの7日間の平均で236人となり、インドの同141人を上回るペースで感染が拡大している状況だ。
今回、マレーシア政府が踏み切った「ロックダウン」は、昨年3月から5月の2カ月間にわたって敷いてきた罰則付きの活動制限令をほぼ踏襲した形の厳しい内容だ。国が必要不可欠と認めたサービス以外、すべての経済活動が制限されることとなり、商業施設は基本的に閉鎖、食料品や生活必需品を販売する店舗のみ営業が認められ、飲食店も午前8時から午後8時まででテイクアウト、ドライブスルーまたは宅配のみ。理髪店、家具店、映画館、衣料品店、さらに洗車サービスもすべて閉鎖だ。
許可された食料品や薬品などの購入のための外出も、1世帯から2名までと制限され、かつどこにでも行けるわけではなく居住地から半径10キロメートル以内の店舗のみと限られている(医療目的など緊急の場合のみ患者含む最大3名まで)。
また、タクシーや東南アジア版ウーバーとも言える配車サービス・グラブは、運転手を含めて2名のみ。乗客は必ず後部座席に座ることが求められる。ちなみに、タクシーやグラブの車内には、感染者追跡アプリ「マイセジャテラ(MySejahtera)」のQRコードが必ず設置されており、乗客は乗車前に必ずスマートフォンなどでスキャンして氏名や連絡先などの個人情報を登録することが必須だ。
この「マイセジャテラ(MySejahtera)」は昨年以来、国内の全施設に導入することが求められており、ショッピングモールや理髪店、病院、ジム、屋台に至るまで、あらゆる場面で移動ごとにスマートフォンをかざして登録することは、もはやニューノーマルの光景として当たり前のものとなっている。
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