スマートニュースは製品の完成度で勝負 群雄割拠のニュースアプリ市場<その4>

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最後に、最大のライバルと思われるグノシーについての雑感を伺った。筆者はThe Startupにてスマートニュース化したグノシーvsスマートニュースいう記事をリリースしており、市場を牽引する2社の行方は気になっていた。

「市場として、PCの世界ではポータルニュースサイトがいくつか乱立しましたが、Yahoo!が圧勝し、その他とは媒体規模が桁2つくらい異なります。スマホにおいても同様の一社が勝ち切るという構造は十分あり得ると思っています。我々はスピードも大切ですが、プロダクトの質を高めていくことで勝負していきたいです」

スピードでは資金調達の規模やTVCMといい、グノシーが圧倒しているように筆者には思える。TVCMに関しては「選択肢としてはあるが、ユーザー獲得のROIを最大化するにはオンライン広告の方が効果を読みやすい」とし、直近で出稿の予定はなさそうだ。

喰い合いになる可能性

スピードのグノシー、質にこだわるスマートニュース。国内においても、まだどのニュースアプリも使っていないユーザーの方がボリュームは多く、まだまだユーザー数を伸ばすチャンスはどのアプリにもある。だが、ユーザーは複数のニュースアプリを使いこなすのか。とりわけスマートニュースとグノシーなら、どちらかを見るようになるユーザーが多く、完全に喰い合う市場であると筆者は見ている。

スマートニュースとグノシー。両雄並び立たずで、どちらかが優位な展開になることを筆者は予測する。他ニュースアプリと比べたスマートニュースの質の高さは、今後のDAU率が物語ってくれるだろう。スピードを取らず、質の追求を取ったスマートニュースの活路は、DAU率に紐づくユーザーエンゲージメント率の高さにある。その強みを崩さずに生かせるかどうかが運命の分かれ目になりそうである。

(撮影:大澤 誠)

【梅木雄平のスタートアップチェック(各項目を1~5点で採点)】
●経営陣:3.8 エンジニア主導の文化のためか、他の企業と比べ、経営判断のダイナミズムや意思決定スピードが劣る印象。
●市場性:4.0 マス向けのニュースアプリであり、対象とする市場は非常に大きい。
●利益率:3.8 DAU38%という高い利用率を誇り、既にそれなりの規模のトラフィックを有している。収益化開始時期が読めないが、巨大なトラフィックを換金する難易度はさほど高くないようには思える。一定以上の収益化は可能であり、メディア広告ビジネスであるがゆえ、利益率も一定以上確保できる。
●競合優位性:3.5 スマホに最適化したインターフェイスにより、真っ先にこの市場で認知を上げたが、UIだけでは強力な差別化要因にならない。ユーザーはスマートニュースとグノシーを比較して利用するわけではなく、知っている方を利用し始めるだけ。ユーザーが利用し続けることで、グノシーのようにレコメンド精度が上がるわけでもなく、事業資産が溜まらない、スイッチングコストは低いと判断。
●海外展開力:3.3 まだ始めていないので低めに想定しているが、戦略的にダウンロード数を伸ばす資金が必要になるだろう。
●総合点 :3.6  DAUが高い点は魅力的。ただ経営スピードが遅いのが気がかり。
●予想EXIT: 2016年に他社へ売却か?
●推定時価総額:売却時に100億円前後
●推定根拠:もちろんIPOの可能性もあるが、他のスマホニュースベンダーと結合する可能性が高いと予測している

 

梅木 雄平 The Startup編集長

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うめきゆうへい

慶應義塾大学卒業後、サイバーエージェント子会社にてベンチャーキャピタル業務などに従事。複数のスタートアップ企業での事業経験を経て、2011年フリーランスとして独立後2013年に株式会社The Startupを設立。スタートアップ業界のオピニオンメディアThe Startup編集長を務める。著書に『グロースハック』がある
 

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