「便秘に悩んでいる人」が知らない肛門の基礎知識 肛門科医が解説「スッキリ排泄」に要る3つの力

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22年間にわたり約10万人のお尻を診てきた経験から、健康的な排便に必要なことは、大きく次の3つにまとめられます。

  • 1.便の有無がわかる(感じる)……便感知力
  • 2.便意がある(行きたくなる、もよおす)……共腸力
  • 3.便を出せる(排便)……排出力
  •  

これらのうち、どれか1つが欠けても、正常な排便ができなくなります。それぞれ、どのような力なのかをお話ししましょう。

正常な排便に必要な3つの力

1.便感知力

オシリに不調を感じる方を診察していると、肛門や直腸に大量の便があることをまったく感じていない方が多くいらっしゃいます。肛門付近に便を溜めすぎると肛門の感覚がマヒして、鈍感になっていくのです。そもそも、肛門に下りてきた便を感じないと、排便行動は起こりません。排便行動が起こらないと、出口にどんどん便が溜まり、便秘になってしまいます。

2.共腸力

スッキリ排便できている人は、便を感知したら便意が起こります。つまり、便意(共腸力)の原動力は便感知力なのです。そして、便意があるとは、腸の蠕動(ぜんどう)運動が起こって、腸が便を押し出そうと協力してくれているということです。

この力を借りて排便すると、便がスッキリ出やすくなります。スッキリ排便ができていない人は、便があっても便意が起こらないことがあります。肛門付近に便を溜めすぎているため、肛門の感覚がマヒして、まったく便意が起こらないのです。無理矢理排便すると、「共腸力」を利用できず「出残り便秘」が生じやすいのです。

3.排出力

最後に、便の排出です。排便する際、力をこめていきみすぎている方をしばしば見かけます。これは、かえって逆効果になります。もちろん、軽く「いきむ」ことはスッキリ排便するために大切ですが、基本的に排便は「いきみ」という意識下の行動と「排便反射」の共同作業によって起こります。

蠕動運動により出口に便が下りてくると、直腸がさらに動いて便を押し出します。同時に、肛門の筋肉である内肛門括約筋(ないこうもんかつやくきん)は弛緩します。

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