「便秘に悩んでいる人」が知らない肛門の基礎知識 肛門科医が解説「スッキリ排泄」に要る3つの力
お尻のトラブルには、痔やかゆみ、匂いなど、さまざまな悩みがありますが、とくに多いのが便秘です。便秘を改善するために、食物繊維の多い食事をとったり、ヨーグルトを食べたり、下剤を飲んだりと、多種多様な方法が用いられます。しかし、間違った方法を続けてしまうと、改善できないので注意が必要です。
まず、便秘を理解するうえで、知っておいていただきたいことがあります。それは、「腸と肛門は密接に関係している」ということです。お腹(腸)は、便の「製造」(つくる)と「運搬」(はこぶ)の工程を担当しています。出口(肛門)は、できあがった便の「排出」(出す)工程を担当しています。
つまり、お腹(腸)は便を「つくって運ぶ」仕事、出口(肛門)は便を「出す」仕事をしているというわけです。腸と肛門はつながっていますが、役割はそれぞれ違うので、切り離して考えてください。
診察するときは、どの工程がうまくいっていないのか、お腹(腸)なのか、出口(肛門)なのか、あるいは両方なのかをチェックします。それによって便秘の分類をして、治療の方法を変えています。
出口の肛門が詰まると、腸も「渋滞」する
みなさん、毎日何かしら食べたり飲んだりしています。ダイエット中でも、少食でも、水分くらいはとるでしょうし、まったく食べない人はいないでしょう。食べたモノは胃で消化され、十二指腸・小腸へ運ばれ、そこで必要な栄養素が吸収され、残ったものは大腸へ送り込まれます。
大腸では、そこからもまだ吸収できそうな栄養素をカラダに取り込み、腸内細菌も手伝って「便らしく」なっていきます。できあがった便は肛門から排泄され、カラダがスッキリします。これが本来の状態です。
便秘は、このスッキリ排泄ができないという症状。さらに、便は排泄されるように毎日つくられています。便を出さないということは、その分カラダの中に溜まっていくというわけです。
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