「イスラエルvs.パレスチナ」こうも泥沼化した訳 ガザで繰り返される衝突に「真の出口」はあるか
パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスとイスラエルの戦闘が11日間にわたって激化、5月20日(現地時間)になってようやく双方が停戦に合意した。今回の衝突勃発には唐突感もあり、危機を高揚させた両者には、政治的な思惑も見え隠れする。
アメリカなど関係国の停戦に向けた仲介も進むが、イスラエルと「特別な同盟関係」にあるアメリカが、ハマスの無差別なロケット弾攻撃にさらされるイスラエルの「自衛権」を尊重し、国連安保理での声明発表に反対するなど国際社会のイスラエルに対する圧力は高まらなかった。そもそもなぜイスラエルとハマスの衝突はここまで泥沼化したのか。
衝突は、ガザ地区から離れたヨルダン川西岸のパレスチナ自治区に波及したほか、イスラエル国内に住むアラブ系市民(パレスチナ人)とイスラエル右派との衝突にも発展。過去に繰り返されてきたイスラエルとハマスの衝突とは異なる面がある。
イスラエル人が怯える以前と違った状況
ガザ地区を舞台にしたハマスとイスラエルの衝突は、繰り返されてきた。筆者は2000年代前半、たびたびガザの戦闘現場に入り、ハマスの指導者や現地のパレスチナ人たちを取材した。当時もハマスはイスラエル領内に向けて手製のロケット弾を発射しており、それを抑え込もうとするイスラエルがハマスの関連拠点を空爆したり、場合によっては地上侵攻したりする構図が続いてきた。
今回の衝突は、デジャブ(既視感)があるものの、異なっている面も多い。ハマスは2007年からガザを実効支配し、ロケット弾も当時とは比較にならないほど射程距離が伸び、イスラエルの経済的な中枢である商都テルアビブや聖地エルサレムなどほぼ全土を射程に収めている。
テルアビブ在住のイスラエル人は、「前回(2014年のハマスとイスラエルの大規模衝突)はビールを飲みながら情勢をのんきに見守っていたが、今回は本当にびびっている。ロケット弾の飛来を警告するサイレンが昼夜ずっと鳴っており、子どもも眠れない」と訴える。
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