「イスラエルvs.パレスチナ」こうも泥沼化した訳 ガザで繰り返される衝突に「真の出口」はあるか

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ガザには、イスラエル軍が「メトロ」と呼ぶ地下トンネル網が張り巡らされている。エジプトからの武器密輸のほか、武器の隠匿、作戦会議、戦闘員の移動などに使われているほか、ガザからイスラエルとの境界を超えてトンネルが掘削され、イスラエル国内の軍事施設や民間人を攻撃するトンネルも掘られている。

これに対し、イスラエルは、ガザに多数のパレスチナ人内通者を抱え、通信の傍受や偵察活動などによってもハマスの拠点を特定して徹底的に破壊している。これが効果を上げれば、ロケット攻撃の減少という形で、数字面で表面化するだろう。

停戦でも対立構図は変わらない

イスラエル在住者によれば、19日までにロケット弾攻撃は、かなり減ってきている。とはいえ、なおロケット弾は推定1万発前後が残存しており、予断を許さない状況だ。

親イスラエル姿勢が目立つアメリカのバイデン政権だが、民間人の犠牲者拡大やアメリカのAP通信支局が入居するビルをイスラエル軍が空爆したことで風向きが変わり始めており、水面下でイスラエルに自制や停戦受諾を迫っていると伝えられている。

一方、ハマス指導者のハニヤ氏がアルジャジーラに語ったところでは、2009年の大規模衝突の際には、イスラエル側から仲介者を通じ、攻撃停止の条件として、抵抗闘争の15年間の停止や地下トンネルの閉鎖などの要求が伝えられ、ハマスはそれらを拒否したという。BBC放送によると、ハマス幹部は今回、仲介を通じた交渉で、イスラエルがエルサレムのイスラム教聖地に対する規制強化や東エルサレムのパレスチナ人退去問題で譲歩したと主張。イスラエル側は、これらの合意を否定している。

ただ、ハマスとネタニヤフ首相の双方には、民衆や国民向けに戦果を誇示したいとの政治的な思惑があもある。さらに、エルサレムの帰属争いというパレスチナ紛争の核心的な問題が衝突激化のきっかけとなっており、中東専門家の間では、停戦に至ったとしても、対立構図は何も変わらないとの悲観的な見方が広がっている。

池滝 和秀 ジャーナリスト、中東料理研究家

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いけたき かずひで / Kazuhide Iketaki

時事通信社入社。外信部、エルサレム特派員として第2次インティファーダ(パレスチナ民衆蜂起)やイラク戦争を取材、カイロ特派員として民衆蜂起「アラブの春」で混乱する中東各国を回ったほか、シリア内戦の現場にも入った。外信部デスクを経て退社後、エジプトにアラビア語留学。ロンドン大学東洋アフリカ研究学院修士課程(中東政治専攻)修了。中東や欧州、アフリカなどに出張、旅行した際に各地で食べ歩く。現在は外国通信社日本語サイトの編集に従事している。

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