「イスラエルvs.パレスチナ」こうも泥沼化した訳 ガザで繰り返される衝突に「真の出口」はあるか

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歴史の荒波に翻弄されて国家を持つ機会を逸してきたパレスチナ人たちは、今もユダヤ人入植地建設や占領政策によって土地を収奪され、アイデンティティーや文化すらもイスラエルの標的になっている。無策の国際社会や国連には頼れず、鬱積した感情が抵抗闘争を前面に掲げるハマスへの支持につながっている。

今後の展開はどうなるのだろうか。2014年の大規模衝突では、戦闘が51日間に及び、パレスチナ人約2250人、イスラエル側で約70人が死亡した。民間人の犠牲者急増に対する国際社会のイスラエルへの圧力もカギの1つだろう。イスラエル軍がツイッターで公表する声明には、パレスチナ人という言葉は見られず、あくまでハマスが標的であることを明確にしている。

軍は、ハマスが人口密集地やメディアが入居するビルなどをロケット弾の発射拠点や情報収集拠点にする「人間の盾」戦略を取っているとして、事前に攻撃予告するなど民間人の犠牲を最小限に食い止める努力を払っていると説明。子どもの存在を確認したために攻撃を直前で取りやめた映像も公開している。ただ、世界でも最も人口が密集した地域であるガザでの民間人の犠牲者は拡大の一途をたどっている。

停戦は永続するか

双方とも弱腰と受け止められる判断はできない。過去のハマスとイスラエルの戦闘を見ると、イスラエルの攻撃やロケット弾の放出によってロケット弾の発射回数が目に見えて減ってくる。これをイスラエルは十分な戦果と国民向けに説明し、ハマス側も敵側に犠牲者や甚大な被害を出したとして「勝利宣言」する構図が一般的だ。

イスラエル・メディアによると、ハマスが保有するロケット弾は推定1万4000発。すでにハマスは約4000発を発射しており、イスラエルが歴史的に経験したことのないほどの量に相当する。

焦点の1つは、本格的なイスラエル軍によるガザへの地上侵攻があるかどうかだった。ロケット弾攻撃で、イスラエル側で世論が硬化するような人的被害が出るかどうかも重要な要素となる。イスラエル軍が地上侵攻した場合、市街地でのゲリラ戦となり、双方の犠牲者が急増するのは避けられなかった。

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