会場は27歳の李薇さんが持つ瀟洒なマンション。彼女は座談会中「貧乏生活」について話をしているが、このマンションは賃貸ながら家賃約1万5000元(1元=約16円)の4LDKという高級物件で、そこにイギリス人の彼と女友達と3人暮らしをしている、北京ではハイソな「貧乏生活」である。
テレビ関係の仕事をする3人に恋愛観、結婚観を聞く。そこから今の中国のリアルが浮かび上がってくる。(後編は7月21日に掲載します)
イギリス人と同棲中、結婚には興味なし
――まず自己紹介をお願いします。
李:私は李薇といいます。27歳です。同棲している彼と、仲のいい友人と3人で教育関連の会社を立ち上げたところです。それとは別にフリーランスで英語の教師もしています。
留学経験はないですが、国内で英語を学び、テレビ局で通訳をしていました。そこを2010年に辞め、しばらくはバックパッカー生活でした。彼がイギリス人なので、イギリスにも2カ月いたこともあります。そのときイギリスの教育にふれて、中国で教育関係の会社を立ち上げようと思ったのです。起業して半年、まだまだこれからですね。
――彼と結婚は?
李:あまり考えていません。2人とも今の関係が気に入っています。結婚したらこんな気楽な関係ではいられないでしょう。第一、今は仕事が忙しいので、ほかのことはあまり考えられません。
それに政府は婚姻証でカップルを縛る権利なんかないと思います。カップルのどちらかが将来的に、相手に責任を負いたくないと思ったり、もう愛はないと感じたら、それは2人の間の問題です。法律で解決できる問題じゃない。だから結婚についてはあまり考えていません。
ただ、中国では、シングルマザーへのプレッシャーがまだまだ強いし、私もそれほど「反逆者」というわけではないので、もし子供を産むとなったら結婚の過程は必要でしょうね。
林:私は林悦敏といいます。35歳。結婚して10年、子供が1人います。
李:えーっ、結婚していたの?! ちっとも知らなかった! だってあなたの生活、全然、既婚者じゃないみたい。夜中まで一緒に飲んだりするでしょ。
林:実は夫は公務員で、職場は郊外にあるのです。家もそちらのほうで支給されているんですが、私の職場は市内中心部で、通うのが大変だったので、こちらでも家を買いました。それで平日は別居し、金曜日に私が郊外の家へ戻って一緒に暮らしています。子供は寄宿学校にいて、やはり週末には家に帰ってきます。
――お仕事は?
林:広告業界で10年くらい働いて、昨年、金融業界に転職しました。数カ月迷ったのですが、ずっとひとつの業界にいたので、もし転職するなら年齢的にも今が最後のチャンスじゃないかと思ったのです。広告より金融のほうが、将来性はあるでしょうし、自分の持っている人脈や資金を生かせるでしょう。今は私募ファンドを扱っています。
沈:私は沈雅范です。36歳、未婚です。李薇と同じテレビ局で10年くらい働いていました。彼女はそのときの仕事仲間です。私は昨年辞めたところで、今はテレビ関連の製作会社で管理職をしています。仕事はすごく忙しいですが、楽しいです。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら